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【相続事件簿】父親任せで対策なし。相続税1310万円と知って、パニックに!?

2019/02/21


 

あらゆるパターンの相続トラブルを目撃してきた相続実務士・曽根惠子が、これまであった相続トラブルの実例と、その解決策をご紹介します。
後戻りできない骨肉の争いを避けるために、ぜひ読んでみてください。

 

三田和夫さん(仮名・60歳・男性)の場合

2018年の年明け早々、85歳の父親が突然亡くなり、相続の手続きが必要になった。
父親本人は「俺は100歳まで生きる」と日頃から言っていたため、遺言書はない。
もちろん、家族は何の準備もしていなかった。
三田さんの父親の相続人は84歳の母親と、三田さん、50代の妹で、合わせて3人だ。

「私自身、相続などについて勉強していましたが、自分のことになると冷静な判断ができなくなりました。言葉は悪いですが、相続はちょっとした手続きの違いが大きな差を生むバクチみたいなもの。“なんとなくわかっているつもり”で手続きを進めることは、今後の人生を左右すると感じ、前に進めなくなりました」と三田さん自身は語る。

相続税がかかる場合の申告期限は10ヶ月。
三田さんが来られたときはあと6か月間のとき。
会社経営をしていた父親の財産は不動産だけでも首都圏内に4か所あった。
その内容は、両親が2人で暮らしていた都内の自宅、父親の荷物置き場となっている空き家のマンション。
三田さん自身の自宅、妹の自宅、それに加えて那須塩原に別荘もあった。
三田さん兄妹は、父親が所有する不動産を使用賃貸(無償で貸し借りすること)しているという。

父が所有する不動産の評価は、ざっと計算して1億1000万円。
預貯金も3000万円あり、合わせて1億4000万円になる。
相続税の申告が必要になる額だ。

「相続税の非課税枠は、“3000万円+相続人の人数×600万円”ですから、うちの場合は3000万円+3人×600万円=4800万円です。だから相続税の申告をしなくてはなりません」
この場合で試算すると、相続税は1310万円だ。
「そうなんですが、私達にはそれを支払う手持ちがありません。年をとってから授かった子供たちもまだ大学生。これから結婚などでもお金がかかるでしょう。ですからなるべく手元にお金を残しておきたいのです」

相続税をゼロにする方法はある。
それは、配偶者控除控除という申請をし、配偶者(この場合、三田さんの母親)がすべてを相続すること。
これなら1億6000万円まで相続税が非課税となる。
しかし、配偶者税額軽減の特例を使うと、母親が亡くなった二次相続のときに相続税が高くなるという問題が発生してしまう。
遺産分割を考える時には、二次相続まで考慮することが大切なのだ。

「母親も84歳です。そう遠くない将来に、私達が相続をする日が来るでしょう。その時に備えて何をすればいいか、どこから始めればいいか教えていただきたいのです」

そこで相続実務士・曽根は、1億4000万円の相続財産を確認、評価してリスト化した。
納税を減らすためにいったんは母親が全部を相続し、その後、母親が節税対策を取ることで、二次相続の対策まで含めた提案をした。
相続税は不動産か現金かでも税率が変わり、不動産の用途(自宅用か事業用かなど)も影響してくる。

父親の財産の半分は両親が住んでいた都内の自宅(戸建て)だった。
母親が1人暮しを続けるには広すぎること、清掃、庭の手入れなど維持が大変なことなどから資産組替が妥当だと。
そうすれば、二次相続での相続税の負担増が回避できる。
戸建ての自宅を売却してコンパクトで駅に近いマンションなどに住み替え、残りは賃貸不動産にしたり、子供に贈与したりして、評価を下げておくようにする方法がいいとアドバイスした。

「今回は、ひとまず母親に全てを相続してもらい、その後の時間で負担が少なくなるように対策を実行していきます。二次相続までのイメージができたので、不安がなくなり、母親を中心に妹とも協力してサポートしていこうと思いました。自分たちの負担もなく、ほんとうによかった。」

三田さんの場合は、配偶者税額軽減の特例を使うことで節税ができたが、安易にこの特例を使ってしまい、二次相続の時に苦しむというケースも少なくない。
二次相続の対策まで提案、サポートしてくれる専門家選びがポイントになる。

 

 

遺産相続評論家・相続実務士のアドバイス

 

配偶者税額軽減の適用は、確実に大きな節税になるが、そのままでは二次相続時に相続税の負担が重くなるケースも。
一次相続後に対策をしておくことが必須となる。

 

コラム執筆

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