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【相続事件簿】3億円の財産が国のものに!おひとりさま、1人っ子は生きているうちに使おう!

2019/02/14


あらゆるパターンの相続トラブルを目撃してきた相続実務士・曽根惠子が、これまであった相続トラブルの実例と、その解決策をご紹介します。

相続は個々に事情が違うため、相続相談としてお会いして状況をお話頂くところからスタートします。
相続されるご家族は多様化しており、離婚や再婚はめずらしいことではなくなりました。
配偶者やこどもがいない方も増えてきましたので、相続のあり方も多様化しています。
また最近はおひとりさまが増えており、そのうえ、1人っ子という方もあります。
もめる相手がいないから問題ないかと思うと大間違い。
フジテレビ「ホンマでっか!?TV」に出演してご紹介した内容をまとめました。

 

3億円の財産を残して孤独死

ご両親の相続税の申告や賃貸併用住宅の建築のコーディネートをさせていただいたI様が昨年、孤独死されました。
70歳の男性です。独身で、自宅でひとり暮らしをしておられました。
新聞がたまっているのを配達員が不審に思い、警察に通報して、室内で亡くなっているのが発見されたのです。

I様は、8年前に父親が亡くなったときに、書籍を読んで私のオフィスに相談に来られました。
父親の財産は、120坪の土地に自宅、アパート、貸家、駐車場があり、預金など合わせると3億円ほどになり、相続税の申告が必要でした。
相続人は母親とI様の二人で、配偶者の特例を生かすようにして節税しました。

合わせて母親の二次相続対策のために自宅を建て替えることをご提案しました。
豪華な自宅はいらないと言って、賃貸併用住宅にされました。
母親の生活を考えると自宅は1階として、1階1部屋、2階3部屋の賃貸住宅が出来上がりました。
建築費は借入することなく、所有する母親の現金を充てられました。
現金を建物に変えるだけでも半分以上も評価が下がり、節税効果が高いのです。
建て替えた自宅は快適だと喜んでおられました。

 

質素な生活スタイルが変えられない

母親はほどなく亡くなってしまい、I様はいよいよひとりになってしまわれたのです。
父親の相続手続きのときに知ったことですが、I様には弟さんがおられました。
けれども、その弟さんは独身で、40代後半に父親よりも先に亡くなっていたのです。
よってご両親が亡くなった後は、おひとりさま、1人っ子の状態でした。

I様は65歳まで会社員として勤務して、その後はリタイヤされましたが、年金と家賃収入が入ります。
それ以上にどんどん使って財産を減らすことも生き方のひとつですので、旅行や趣味にどんどん使いましょうともアドバイスしていました。

I様は不動産だけでなく、預金も1億円近くお持ちなのに、車を買い替える時も、国産車。
ご両親も質素な生活をしてこられたようで、そうした生活が身についているのでしょう。
財産を残す相続人がいない状況ですから、もっと割り切ってどんどん使ってしまうようにされてもいいのにと思っておりましたが、使われないので減る要素がありませんでした。

 

遺言書のおススメしたが

両親、祖父母も亡くなっていて、きょうだいもいないI様の場合は、「相続人がいない」状況です。
最近では高齢の方の婚活も流行っていますので、そうしたいい出会いがあり、配偶者ができれば、老後の不安もなくなり、相続の不安も解消されるのですが、そうしたこともなければ、ご自分の意思を決めて、遺言書に託すようにしましょうと公正証書遺言をおススメしていました。
ところが、60代はまだまだ元気で、相続も先のこととI様は思っておられて、「もう少し考えがまとまってから」というお返事でした。

きょうだいがいない場合、財産を託そうと考える対象は、やはり親族のことが多く、いとこやその子どもたちになります。
日頃、行き来をしていれば託しやすいのですが、それほど親しい付き合いをしていないこともあると簡単には決められないのが現実です。

 

警察からの電話

I様に建てていただいた賃貸住宅は、私の運営するグループ会社が賃貸管理を引き受けていますが、ずっと満室で退去もほとんどなく、賃貸事業は安定していました。
毎月の家賃は指定口座に振り込みをしています。
毎月の賃料の明細書を担当者が手渡しをしていますが、旅行で不在にすることもあるので、特段変わったことがなければ、郵送でよいと言われていましたので、担当者も数か月はお会いできていなかったといいます。

しかし、それまではI様はお元気で、お変わりないと聞いていました。
それなのに、12月のはじめの警察からの電話でI様が亡くなったことを知らされたのです。
アパートにつけている看板にグループ会社の連絡先を記載していますので、それを見てかけていただいたのです。
Iさまは70歳になられたばかりでした。

 

年間440憶円もの財産が国のものに

相続人は原則、配偶者と子どもです。
両方いないおひとり様の場合は両親か祖父母が相続人です。
I様のように、両親も祖父母も亡くなっていて、しかもきょうだいもいない、1人っ子の場合は、相続人がいないことになります。
最近では、こうした人が増えているのです。

相続人のいない財産は、国に帰属するため、国のものになりますが、最近では年間約440億円もの財産が国に帰属している状況です。

身の回りのお世話をしたり、関わりのあった親族などは、家庭裁判所に「特別縁故者」として財産の一部をもらいたいという申請をすることはできますが、そもそも財産管理人になる弁護士の選任などが必要で手続きには100万円以上の費用がかかり、時間もかかります。
そうすることで亡くなった人の財産がすべてもらえるかというと、認めてもらえるのは財産のほんの一部ですので、結局は大部分が国のものになるのです。

おひとりさま、1人っ子が自分の意思を生かすには、「遺言書」の作成が必須となります。
そうすることで親族へも迷惑や手間をかけずに済むのです。

 

若いうちに遺言書を書いておこう。民法改正で遺言書は作りやすくなる

誰でも自分の寿命はわからないものです。いつ何があるかもわかりません。
まだ先と思わずに、若いうちに遺言書を作成して、自分の意思を残して財産の渡し方などを決めておきましょう。
そうすれば自分の気持ちも落ち着いて、長生きできるかもしれません。

法的に間違いのない「公正証書遺言」がおススメで、当社で承認業務を担当してサポートしていますが、公証役場と証人の費用が必要になります。
費用はかけずに自分で作りたいという場合、自分で書いた「遺言書」を2020年より法務局が保管してくれるように民法が改正されました。
家庭裁判所の検認も不要になりますので、遺言書が作りやすくなります。
財産目録もワープロ打ちや不動産の登記証明書や通帳の写しの添付も認められます。

ただし、自分で書く遺言書は、おひとりさまの場合、家に保管しておいても発見されないケースもあります。
法務局に保管してもらうと同時に、財産を渡す人(受遺者)か、遺言を実行してくれる人(遺言執行者)に知らせておくようにしましょう。

 

 

 

遺産相続評論家・相続実務士のアドバイス

自分の財産は自分のために使っていい時代!趣味、起業、ボランティア、寄付など。

いまから思うと、遺言書はI様の考えがまとまるまで待とうと、先延ばしにしてしまいましたが、もっと強くおススメしおくべきだったと残念に思っています。

遺言書に残す人が決められないくらいであれば、自分の財産は自分のために使っていい時代ではないでしょうか。
趣味、起業、ボランティア、寄付などなど、思いつく限りのことに活用しても誰に咎められることもない時代です。

最近では高齢の方の婚活も流行っていますので、年代問わず、いい出会いの機会も増えています。
配偶者ができれば、老後の不安もなくなり、相続の不安も解消されるのですから、I様も一度くらいはチャレンジして結婚してみるというセレモニーを経験されてもよかったのにとも思いました。

とにかく、いろいろな意味でI様にとっては機会喪失だったように思えて、残念でしかありません。
もっと背中を押してあげる機会を作るべきだったと後悔しています。

生き方も、生活スタイルも、財産の持ち方、使い方、相続の仕方、時代により少しずつ変わっていますし、自分スタイルに変えてもいい時代。
後悔のない選択をおススメしたいとあらためて思っています。

 

コラム執筆

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