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余命三ヵ月の妻が夫に残した「ラブレター=遺言書」、その中身とは?

2018/11/30


私は相続対策のご提案とサポートをする会社を運営しており、

いままでに1万4,000人以上の相続相談を受けて、アドバイスやサポートをしてきました。

相続は個々に事情が違うため、相続相談としてお会いして状況をお話頂くところからスタートします。

 

相続されるご家族は多様化しており、離婚や再婚はめずらしいことではなくなりました。

配偶者やこどもがいない方も増えてきましたので、相続のあり方も多様化しています。

また最近は予期せぬ病が発覚して余命宣告を受ける人もあります。

親より先に子供が亡くなる場合や、年上の夫より先に妻が亡くなる場合などもあります。

そうしたときにこそ、相続の知識や用意が必要になります。

 

最近の実例にもそうした内容があったので、ご紹介しましょう。

 

肺がんのステージ4と診断、余命3ヵ月を宣告された

ある月曜日の朝、もともと付き合いのあったKさん(60代・女性)のご主人から突然の電話がありました。

Kさんは先月まで普通に生活していたのですが、疲れが取れないとマッサージに通っていたと言います。

それでも背中の痛みが続くため、薦められて病院で診てもらったところ、

肺がんと診断され、余命3ヵ月という残酷な宣告を受けたのでした。

 

肺がんのステージ4と診断されて厳しい状態だということはKさんにも告知されて、

すぐに入院して抗がん剤治療を始めたところです。

 

しかし、がんは肺以外にも転移しており、長くは生きられないということも伝えられたのでした。

こうしたことから、Kさんは自分の「遺言書」を作りたいので、段取りをしてほしいと、

ご主人がKさんの代わりに当社へ電話をして来られたのです。

 

◆両親の相続時からあった、姉妹の「争続」の芽

じつはKさんとはもともと、Kさんのご両親に公正証書遺言を作ってもらいたいと

私のところへ相談に来られたのが知り合ったきっかけです。最初にお会いしたのはもう10年以上も前のことです。

 

というのもKさんには姉がいますが、両親と姉は波長が合いません。

姉は結婚して家を離れてしまい、両親と顔を合わすたびに将来の相続時の権利主張をするばかり。

両親の面倒を看るつもりはないとも明言してがっかりさせたばかりか、

自宅は長女なので自分がもらいたいと主張するなど、自分中心なため、姉には財産は渡したくないというのが両親の本音でした。

 

一方、次女のKさんは結婚したものの実家のすぐ近くに住み、普段から親のために尽くしてきました。

両親が高齢になり、父親が実家で生活することが大変になったときも、老人ホームを探し、

1人暮しになった母親のサポートをし、すべてを引き受けてきました。

 

両親はそうした状況を踏まえて勝手なことばかり言う長女ではなく、次女に老後を託し、

財産も相続させたいという気持ちで、公正証書遺言を作られました。

その際、将来の相続時に長女から文句が出ないようにと、住宅取得資金として長女への現金贈与も済ませました。

相続される財産は両親の共有名義となっている自宅と預金で、それぞれ基礎控除の範囲内でしたので、相続税はかかりません。

先に父親が亡くなり、その後に母親が亡くなりましたが、それぞれ公正証書遺言で相続の手続きができました。

普段のKさんの貢献度は明らかで、姉も文句は言えなかったようで、遺留分請求もありませんでした。

 

◆まさか、「不仲の姉」が相続人になる可能性が浮上

こうした経緯があったため、今回Kさんが「遺言書を作ろう」と思われた理由はすぐに理解できました。

Kさん夫婦には子どもがいませんので、Kさんがご主人よりも先に亡くなった場合の相続人は、

ご主人だけでなく、Kさんの姉にも権利が発生するのです。

 

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合に相続する法定割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。

遺言書がない場合、Kさんの財産の分け方について、ご主人とKさんの姉が話し合いをして、

分け方を決めた上で、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

両親やKさんが姉とは円満な関係ではなく、普段から行き来もせず、意思の疎通が図れない状況では、

残されたご主人が義姉と円満な話し合いができるとは思えません。

まして、公正証書遺言によって両親の財産はすべてKさんが相続しており、

姉がKさんの財産でその分を取り戻そうと考えてもおかしくはありません。

 

◆夫vs妻の姉。遺産分割協議が円満にできるはずがない

一番の気がかりは、両親から相続した実家よりも、ご主人と共有名義で購入した自宅でした。

土地も建物もKさんと夫が2分の1の割合となっていますので、

Kさんの持ち分2分の1に対し姉が法定割合4分の1を主張すると、全体の8分の1が姉にも権利があります。

仮にご主人とKさんの姉が共有で自宅不動産を所有するようなことになれば、円満にいくはずもなく、絶対に避けたいところです。

 

こうした事態を避けるためには、遺言書でKさんの財産はご主人に相続してもらうように指定しておくことが必要になります。

Kさんはそうしたことがわかっていましたので、ご主人にいやな思いをさせたくないと思い、

自分の命があるうちに公正証書遺言を作成しておこうと思いたたれたのでしょう。

自分の財産すべてをご主人に託したいというのがKさんの意思でした。

 

打ち合わせに来られたご主人に必要書類や段取りを伝えて、

すぐに印鑑証明書と戸籍謄本を用意してもらい、公証役場にも連絡して、公正証書遺言の作成準備に取り掛かりました。

通常であれば急いでも1週間後くらいに作成できるところ、公証人の先生に無理をお願いし、

翌日の夕方、公証人と公証役場の事務の方、以前もご両親の遺言つくりの証人をした当社2名の計4名が

Kさんの病室に出向いて、Kさんにお会いしました。

 

急がなくてはという胸騒ぎがしたので、すべて翌日に済ませられるよう段取りしたのです。

Kさんは、ときどき咳込んでおられましたが、それでも思いの外、お元気なように見えました。

このときはKさんが主役です。

起き上がって内容を確認して署名され、見事に主役の役割を果たされて、公正証書遺言は完成したのです。

 

◆命が尽きる前に「意思」を残すということ

「お願いしてよかった!」と、Kさんはとても嬉しそうな笑顔になられました。

「また来ますね」と握手して、病室をあとにしました。

その翌々日。

検査結果では早くて2週間くらいのこともあるという説明はあったにしても、

余命いくばくもないというお医者様の診断のとおり、遺言書を作成した2日後に亡くなったとご主人から知らせが届きました。

 

普通ならそんなに急いで作らないのですが、話をしてなくてもKさんの気持ちがわかり、

なにか急がなくてはという思いになりました。

Kさんも本当にほっとした表情をされていました。

最期に不安を解消でき、満足して、安心して頂けたことは本当に良かったと思います。

この遺言書はKさんからご主人への最後の贈り物なのだと思いました。

自分の命が尽きる前に自分の意思を残されたKさん。

見事な最期だったことに感動し、遺言書が間に合って本当によかったと忘れられない出来事になりました。

 

 

 

 

※この記事は「マネー現代」にて紹介されています。

 

マネー現代:余命三ヵ月の妻が夫に残した「ラブレター=遺言書」、その中身とは?

URL:  https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57758

 

 

 

◆コラム執筆

 

 

 

 

 

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