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相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
【実例】資産1億円超・90歳の父が「対策はいらん」と拒絶。その時、子が取るべき「究極の選択」とは?

相続フェスのセミナーに参加されたTさん(60代・男性)が、あらためて面談予約をして相談に来られました。90歳の父親がご健在なので、Tさんは節税対策をしてもらいたいと希望されているのですが、父親に聞く耳はないので、困っているとのこと。Tさんからヒアリングした内容をご紹介します。
■正月の居間で突きつけられた「現実」
「これを見てくれ。俺なりに準備はしてある」
今年の正月、実家で90歳になる父親が差し出してきたのは、数冊の預金通帳と生命保険証書、そして自筆の遺言書でした。
父親としては「これだけ情報開示したのだから、後のことは心配ない」という自負があったのでしょう。しかし、受け取ったTさんの胸に去来したのは、安堵ではなく「深い危機感」でした。
そこに記されていたのは、「1億円を超える現金」。
そして、年金と家賃収入だけで日々の生活が完結しており、資産は一向に減る気配がないという事実。
「お父さん、このままでは相当な相続税がかかるよ。孫たちへの生前贈与も含めて、少し考えないか?」
精一杯の提案を電話で伝えた数日後、返ってきたのは「いいんだ、自分でやっているから。人の金(親の財産)に口を出すな」という、峻烈な拒絶の言葉でした。
Tさんの父親のような方は本当に多く、こうした「意思疎通が困難な高齢の親」を持つ子ども世代が困っている現状があります。
親に相続対策をしてもらいたい子どもたちは意識が高く、親の財産をあてにしているのではなく、合法的に節税をして次世代へ渡すようにしたい、きょうだいでもめたくないという考えです。
それがうまく伝わらずに、口出しするなとなるようです。親の老後をサポートするためのコミュニケーションでもあることが伝わればいいのですが、それが伝わらないのも現実。
Tさんも父親を説得することはできないとあきらめて、父親を反面教師にして自分の対策に取り組もうという流れになったと言われました。
■ 90歳の壁――なぜ親は「節税提案」を拒むのか?
資産管理への「誇り」と「恐怖」
90歳という年齢。戦後を生き抜き、自力で資産を築いてきた世代にとって、財産は単なる数字ではなく「人生の成績表」そのものです。それを「税金がもったいないから」という理由で他人にコントロールされることは、自尊心を著しく傷つける行為に映ることがあります。
また、認知機能がしっかりしていても、高齢者特有の「変化への抵抗」は強まります。新しい制度(新NISAや教育資金贈与など)を理解し、実行に移すエネルギーは想像以上に大きいのです。
「時間」という残酷な制約
さらに、相続対策には「時間」が必要です。
- 生前贈与の持ち戻し期間: 3年から7年への延長(令和5年度税制改正)。
- 教育資金贈与: 期限や手続きの煩雑さ。
90歳という年齢では、これらのスキームを今からフル活用しても、1億円の資産を圧縮するには限界があります。
【結論】
親の意思が変わらない以上、「親の代での大幅な圧縮は諦める(受容する)」。これも立派な戦略的決断です。発生した税金は、受け取った財産の中から支払うと割り切る。その代わり、フォーカスすべきは「次の代(自分)」の対策へと移ります。
■Tさん自身の「攻め」の相続対策―贈与の限界点
Tさんは、すでに20冊以上の専門書を読破し、ネットから資料をダウンロードして研究を重ねる、いわば「プロ並みの知識」をお持ちの60歳。
ご自身の対策は、驚くべきスピードで進行していました。
現状の施策:
- 徹底した生前贈与: 年間110万円の枠を使い、子や孫など複数人へ分散。すでに累計3,000万円規模を実施済み。
- 生命保険の活用: 非課税枠(500万円×法定相続人数)を最大限に活用。
- 不動産への着手: 現金を減らす目的で、区分マンションをローンで購入。
直面する「嬉しい悲鳴」:資産増加スピード > 贈与スピード
しかし、ここで新たな課題が浮き彫りになります。
「運用利回りが良く、資産が毎年1,000万〜2,000万円単位で増え続けてしまう」ということです。
どれだけ年間110万円ずつ「ばらまいて」も、それ以上に資産が増えてしまえば、将来の相続税負担は雪だるま式に増えていきます。
■最終案としての「不動産戦略」と「借入」のレバレッジ
金融資産(現金・有価証券)は、相続税評価において「時価の100%」で評価されます。一方、不動産は「路線価」や「固定資産税評価額」を用いるため、時価の7割〜8割、賃貸用であればさらに「借地権割合・借家権割合」によって大きく圧縮が可能です。
なぜ今「不動産」なのか?
相談者様が辿り着いた結論は、「金融資産偏重から不動産活用への移行」です。
- 評価額の圧縮: 1億円の現金を1億円の不動産に変えるだけで、評価額を3,000万〜4,000万円まで下げられる可能性がある。
- 債務控除の活用: ローンを組むことで、借入金が相続財産からマイナスされる。
- 事業用ローンの可能性: 70代、80代でも、賃貸経営という「事業」であれば、子供を連帯保証人にするなどのスキームで、30年単位の長期ローンを組めるケースがあります。
10年後のビジョン:二世代同居+収益物件への建て替え
現在住んでいる築35年の自宅。これを10年後、親世代が亡くなり、ご自身が70歳になるタイミングで「二世代住宅+賃貸併用」のRC造マンションなどへ建て替える。
これが、資産増加スピードにブレーキをかけ、次世代への負担を最小化する「グランドデザイン」となります。
■第4章:遺言書の「実効性」をどう担保するか?
自筆証書遺言をすでに作成されているTさんですが、悩みは「資産内容の変動」です。
有価証券の銘柄や現預金の額は日々変わります。その度に書き直すのは現実的ではありません。
公正証書遺言への切り替えと「割合指定」
専門家が推奨するのは、以下の2点です。
- 「割合」で指定する: 「A銀行の預金」と特定せず、「金融資産の〇〇%を長女に」といった割合指定や代償分割を活用することで、資産変動に対応。
- 遺言執行者の選任: 複雑な家族構成(離婚歴のある子、疎遠な親族など)がある場合、相続発生時にスムーズに手続きを進めるため、信頼できる配偶者や専門家を遺言執行者に指定しておく。
費用は20万円〜と発生しますが、将来の親族間トラブル(争続)を防ぐ「保険料」と考えれば、決して高くはありません。
■お金は「使えば使うほど、人に使えば使うほど増える」
「お金は人に使えば使うほど増えるんだ。お前もそうしろ」
これは、父親がTさんに伝えた言葉だそうです。
Tさんは現在、年間50万円ほどを孫たちとの会食(うなぎ等)に使い、新NISAの口座を準備してあげ、将来を見据えた「教育」という投資を行っています。
相続税対策の本質は、単なる「脱税」や「節税」ではありません。
「自分が築いた資産を、いかに次の世代が『最も幸福になれる形』でバトンタッチするか」という、究極のデザインです。
父親が頑固で対策を拒むのも、もしかしたら「自分の力で最後までやり抜きたい」という、息子への最後の背中を見せているのかもしれません。
■まとめ
- 親の対策は「受容」も一つの手。無理強いは禁物。
- 自分の対策は、金融資産から「不動産」へシフトし、評価を圧縮。
- 遺言書は「最新の資産状況」に振り回されない「設計図」にアップデート。
- AIや専門家を使い倒し、ロジカルに、かつ感情(家族の絆)を大切に進める。
相続という長い旅路。
あなたが今、うなぎを一緒に食べているその時間は、どんな節税策よりも価値のある「相続対策」なのかもしれません。
(編集後記)
今回の相談者様は、AI(ChatGPT等)を駆使して自ら提案書を作成する「超上級者」でした。AIは時に嘘をつきますが、正しく問いければ最強の壁打ち相手になります。私たちプロも、こうした知識豊富なクライアントと共に、より高度なオーダーメイド・プランを作る時代に来ていると痛感した事例でした。
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■執筆者
相続実務士 (株)夢相続 代表取締役 曽根恵子
【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。
- 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部テレビ・ラジオ出演:300回超
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