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【相続相談実例】タワマン節税の失敗で追徴1500万円~税理士も不動産会社も教えてくれなかったリスク~

■相続したマンションをすぐ売っただけなのに…

なぜ「タワマン節税」と指摘され、1,500万円の追徴課税になったのか

「まさか、売ったことが問題になるなんて思いませんでした……」

そう話されたのは、父親の相続で都心のマンションを相続したAさん(40代女性)

相続後、しばらく悩んだ末、そのマンションを 相続直後に売却したといいます。

 

・自分では住まない
・管理も大変
・現金にしておいた方が安心

 

ごく一般的で、多くの方が選びそうな判断です。ところが――この「あとのことを考えていない売却」が、思いもよらない税務リスクにつながりました。

 

「タワーマンション節税」と指摘された理由

相続税の申告も、不動産の譲渡税の申告も同じ税理士に依頼。その税理士から「相続税の税務調査が入る」と連絡が来ました。調査で指摘されたのが、「タワーマンション節税を目的とした相続ではないか」という点でした。

Aさんが相続したマンションは40階建ての高層マンション。いわゆるタワマンでした。

財産を現金で保有するよりも、不動産にすれば相続税評価額は低くなるのですが、価値が下がったのではなく、実際の売却価格(時価)は下がっていないのです。

この理屈を利用して、相続税の節税対策として不動産を購入する人がいるので、近年、税務署が最も厳しく見ている内容です。

 

「節税するつもりはなかった」は通用しない

Aさんは言われるには、「父親から相続したマンションは父親がセカンドハウスとして利用する目的で購入しているので、節税目的で買ったわけではありませんし、相続したあと、自分では住まないため、深く考えずに売却しただけです」とのこと。

しかし、税務の世界ではそうした事情よりも、「事実」が重視されます。

税務署が見たのは、次の点でした。

 

  • 相続で取得
  • 短期間で売却
  • 売却益が非常に大きい


結果として、評価と実態が著しく乖離している

この事実から、「相続税を不当に圧縮したのではないか」と判断されたのです。

 

■結果:追徴課税 約1,500万円

税務調査の結果、タワーマンション節税と判断されて、相続税の申告時の不動産評価を否認され、相続税評価の見直しを指摘されて、過少申告加算税・延滞税が発生し、追徴課税 約1,500万円という、非常に重い結果になったのでした。

Aさんはこう振り返ります。

「売らずに持ち続けていれば、こんなことにはならなかったのかもしれませんが、税理士も不動産会社の担当からもそうしたことに注意が必要だと言ってくれなかった、、、。」

 

問題は「売ったこと」ではない

ここで重要なのは、売却そのものが悪いわけではないという点です。

 

問題なのは、

  • なぜその不動産を持っていたのか
  • 相続後、どう扱うつもりだったのか
  • 全体の相続設計の中で、どう位置づけられていたのか

 

これらが整理されないまま相続を迎えてしまったことなのです。

 

「相続後に考える」は、もう遅い時代

以前は、相続税評価が低い、売却して現金化の流れが、「うまくいく相続」と思われていた時代もありました。しかし今は違います。

 

税務署は、

  • 相続前後の経緯
  • 売却までの期間
  • 家族構成・資産全体 をセットで見ています

 

「相続が終わってから考える」
 「とりあえず売る」

この判断が、最大のリスクになり得るのです。

 

そして、この1,500万円が“次の相続”に影を落とす

Aさんの場合、問題はここで終わりません。すでに、タワーマンション節税否認され、追徴課税:約1,500万円が確定してしまっています。これに加えて、

 

  • 父親の代襲相続人として祖母の相続問題
  • 代償金を負う可能性が大きい
  • 支払う現金がないため、母親からの借りるしかない

 

と、次の相続課題が重なっていきます。

「一つの判断ミスが、こんなに長く影響するとは思いませんでした」

 

相続で本当に必要なのは「売るか・持つか」ではない

相続対策で本当に大切なのは、

  • その財産をいつ・誰が・どう使うのか
  • 相続税だけでなく将来の売却・二次相続まで見ているか

単発の節税ではなく、「相続の設計」です。

 

■この事例が教えてくれること

  • 相続直後の売却は、税務署に強くチェックされる
  • 「節税のつもりはなかった」は通用しない
  • タワーマンションは相続後の扱いまで含めて設計が必要
  • 相続は、終わってからでは遅い

 

相続対策は、「まだ先」ではなく、判断できる“今”しかできないことがあります。

そして――一度の相続の失敗は、次の相続まで連鎖するのです。

 

税務署に否認されないための【実務ポイント】

相続前から「取得理由・位置づけ」を整理しておく

本来必要だったこと

  • なぜそのマンションを保有していたのか
  • 相続後、どう扱う想定だったのか
  • 他の財産とのバランス

相続全体の中での「役割」を説明できる状態

 

今回のNG

  • 「評価が低いから」「結果的に売っただけ」
  • 取得理由が“結果論”になっている

 

相続直前・直後の売却を避ける(または理由を明確にする)

安全ライン

  • 相続後すぐ売却しない
  • すぐ売るなら合理的理由を残す

 

例:

  • 居住予定だったが健康・家庭事情で断念
  • 管理・修繕費の急増
  • 想定外の市場環境変化

 

「節税以外の理由」が説明できること

 

相続後も“一定期間”は実態を作る

税務署が見るのは

  • 居住したか
  • 賃貸に出したか
  • 管理・修繕・収支の実績

 

「保有していた証拠」を残す

今回のNG

  • 相続 → 即売却
    → 「最初から売る前提だった」と判断されやすい

 

④ 1物件だけに極端に依存しない

否認されやすい構造

  • 財産の大半がタワマン1戸
  • 他に合理的な分散がない

 

本来の設計

  • 金融資産・不動産を分散
  • タワマンは一部に留める

「タワマンだけが浮いていない」構成

 

時価と評価額の乖離が“過度”でないこと

危険ゾーン

  • 相続税評価:5,000万円
  • 売却価格:2億円以上

乖離が大きすぎると、理由説明がほぼ不可能

 

対策

  • 一棟物・中規模物件
  • 評価乖離が50〜70%程度に収まる設計

 

相続税だけでなく「次」を見ていたか

税務署はこう考えます。

「この相続は、相続税を下げるためだけの“点の対策”ではないか?」

 

必要だった視点

  • 二次相続
  • 売却時の税金
  • 家族間の公平性

線と面”で設計されているか

 

専門家の関与と記録があったか

強い証拠になるもの

  • 相続対策メモ
  • 事前シミュレーション
  • 税理士・コンサルの助言記録

「あとから作った説明」は弱い

 

まとめ|否認されなかった可能性が高い条件

相続前から不動産の位置づけが明確
✔ 相続直後に売却していない(または理由が明確)
✔ 居住・賃貸などの実態がある
✔ 財産全体の一部として組み込まれている
✔ 評価乖離が極端でない
✔ 専門家の設計・記録が残っている

■この事例を一言で言うと

「売ったから否認されたのではない。“設計がなかった”から否認された。」

 

■他の相続案件との決定的な違い

  • タワマン限定ではない
  • 第一段階・第二段階の明確な区分
  • 取得理由・保有理由・出口が説明可能
  • 家族・会社・税務を同時に設計

同じ“不動産対策”でも、リスクの次元が違う


タワマン節税が否認された経緯

1.そもそも「タワマン節税」とは

  • 高層階のタワーマンションは 実勢価格(時価)が非常に高い
  • しかし相続税評価は 固定資産税評価額ベースで低くなる

「時価と相続税評価の大きな乖離」を利用した節税がいわゆる「タワマン節税」です。

 

2.何が問題視されたのか

国税庁・裁判所が問題にしたポイントは一言でいうと

「節税のためだけに、実態のない不動産取得をしている」という点です。

 

3.否認された典型的なケース

次の条件が重なると、否認されやすくなりました

  • 相続直前(数年以内)に購入
  • 自己居住や賃貸の実態がない
  • 高層階・超高額物件
  • 他に合理的な取得理由が説明できない
  • 明らかに「相続税だけが激減」

経済合理性がない=租税回避行為と判断。

 

4.決定打となった判例・動き

裁判所の判断(東京地裁・高裁)

  • 「相続税評価額をそのまま使うと不公平」
  • 時価で評価するのが相当と判断

国税庁の対応

  • 個別否認だけでなく
  • 制度そのものを是正

 

5.制度改正(決定的ポイント)

2024年以降、タワマンは 階層別補正率を導入、高層階ほど相続税評価が上がる

「買えば自動的に得する節税」は完全に封じられた

 

6.重要な誤解

❌ 「不動産による節税が全部ダメ」
「不自然なやり方がダメ」

 

7.今も有効な不動産対策との違い

タワマン節税(否認)

正しい不動産対策

相続直前

計画的

超高額1戸

分散・適正価格

住まない

賃貸・収益

説明不可

経済合理性あり

 

8.一言まとめ

「タワマン節税が否認されたのは、不動産が悪いのではなく、
“やり方が露骨すぎた”からです。そこを避けた賃貸事業であれば否認されません」

 

9.今回の第二段階対策が安全な理由

  • タワマン限定ではない
  • 収益性・立地・出口重視
  • 評価乖離が“適正範囲”
  • 説明可能な取得理由がある

否認リスクを前提に設計している

 

 

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■執筆者

相続実務士 (株)夢相続 代表取締役  曽根恵子

【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。

  • 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部テレビ・ラジオ出演:300回超
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