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相続実務士実例Report
【相談事例】「兄には勝てない。相続でも、それは同じ。」では終わらせない!

■相続に困ったら最初に読む本――「専門家に頼む前に知っておきたい15のこと」
「兄には勝てない。相続でも、それは同じでした」
昨日、50代の女性・Kさんが相談に来られました。きっかけは、
私がダイヤモンド社から出版した『相続に困ったら最初に読む本』を読んでくださったことでした。
この本のサブタイトルは「専門家に頼む前に知っておきたい15のこと」。
Kさんは、まさに「専門家に頼む前に、一度整理したい」
そう思いながら、本を読み進めてくださったそうです。
■相次いで起きた、両親の相続
Kさんのご両親は、かなりの資産をお持ちでした。
昨年、お母さまが亡くなり、そして今年、お父さまも続けて亡くなられました。
相続人は、兄とKさんの二人だけ。
・昨年は母の相続税申告
・今年は父の相続税申告
短期間に、二つの大きな相続が重なっています。
しかも――どちらも遺言書がありません。
相続で一番大変なのは、「財産が多いこと」ではありません。
「財産の分け方」を決めることが難題なのです。
相続人全員が納得できて、わだかまりなく、きょうだいの関係も維持でき、
円満に進めることが必要です。
■遺産分割協議という名の「力関係」
遺産分割協議は、法律上は「話し合い」です。
でも現実には、話し合いにならないケースが多い。
Kさんのケースも、そうでした。
兄は一方的で、高圧的。
数字や理屈を並べ、「こういうものだ」「これは自分の努力だ」と主張する。
妹であるKさんは、子どもの頃から、兄には逆らえなかったといいます。
「妹は兄には勝てない」
その図式は、相続になっても、まったく変わらなかったのです。
■母の相続で起きていたこと
まず、母の相続。財産の総額は4億円台。
母名義の預貯金や証券は、
生前から定期的に引き出され、
証券口座に移され、運用されていました。
その結果、運用益も含めた資産の多くを兄が取得。
兄の主張はこうです。
「これは自分が管理・運用して増やした財産だ」
結果としての分割は、
・兄:約64%
・Kさん:約36%
そして、相続税はどうだったか。
・兄:約350万円
・Kさん:約490万円
財産は少なく、税金は多い。
申告期限ぎりぎり
母親の相続税の申告期限は11月15日。
それなのに税理士から送られてきた遺産分割協議書は11月に入ってからで、とにかく直前。
相続税の納付期限もあるため、考える期間もなく、実印を押すようにと言われて腑に落ちないことは多々あると思いながらも、実印を押さないという決断もできず、結果的には押して進めたと言います。
あとから思えば、有無を言わせないための兄と税理士の作戦だったのでは?とKさんは言われました。
そうした経緯があり、Kさんにとっては母親の相続税の申告と分割協議については、もやもやしたままだといいます。
納得できていない。
「母が了解していたとしても、説明もなく、情報も開示されず、公平とは言えない」
その不満は、数字以上に、心をすり減らしていました。
■父の相続で、さらに大きな問題が
そして、父の相続。
父名義の資産は、6億円台。
・有価証券:約2億円規模
・不動産(アパート・ワンルーム等):5棟
・借入金:約4億円
現在、提示されている分割案では、
・兄:不動産+借入金(実質マイナス評価)
・Kさん:有価証券中心(実質プラス評価)
一見すると、「兄のほうが大変そう」に見えます。
しかし、税金を計算すると――
・兄:相続税ほぼゼロ
・Kさん:相続税 約3,700万円
ここで、税理士から出た提案が、
「有価証券を兄に渡せば、相続税は下がりますよ」
確かに、税金だけ見れば正解です。
でもKさんは、納得できませんでした。
■Kさんが求めていたもの
Kさんが重視していたのは、お金そのものではありません。
・納得感
・公平性
・長期的に後悔の残らない形
「弁護士を立てて争う形にはしたくない」
「でも、このまま押し切られるのも違う」
兄と直接、感情的に交渉するのは難しい。
だからこそ、
第三者として、事実と数字を整理し、選択肢を提示してほしい
それが、Kさんの希望でした。
■「専門家に頼む前に知っておきたい」こと
私の本には、こう書いてあります。
・弁護士は「争う」専門家
・税理士は「申告」する専門家
・銀行は「自社商品」を売る立場
では、誰が全体を整理し、選択肢を作るのか?
それが、私たち「夢相続」の役割です。
私たちは、どちらかの味方にはなりません。
兄の味方でもなく、妹の味方でもない。
「相続全体の設計者」として関わります。
■夢相続でできること
Kさんのケースで、私たちが引き受けたのは、
・母・父、両方の相続についての検証
・申告内容・評価・分割の妥当性チェック
・5年以内であれば、過去の更正の可能性検討
・節税と公平性を両立させた分割案の複数提示
「争いを避けたい」その前提は、私たちも同じです。
だからこそ、感情ではなく、理論と数字で、
兄が理解せざるを得ないプランを作ります。
■難題だからこそ、意味がある
正直に言えば、この案件は簡単ではありません。
兄妹の感情対立は強く、過去の経緯も複雑。
でも、「どちらかが勝つ相続」ではなく、「双方にメリットのある選択肢」を作ることで、
気持ちが少し楽になるケースは多いのです。
Kさんには、ご自身の資産活用も今後必要になるため、新刊もお渡ししました。
■相続に困ったら、最初にやるべきこと
相続に困ったとき、いきなり弁護士に行かなくてもいい。
税理士に丸投げしなくてもいい。
まずは、
・何が問題なのか
・どこで不公平が生じているのか
・選択肢は本当に一つしかないのか
それを整理すること。
「専門家に頼む前に知っておく」だけで、
相続の景色は大きく変わります。
Kさんの相続は、まだ途中です。
でも、「このままでは終わりたくない」
その思いを、形にする第一歩は踏み出しました。
相続は、お金の問題である前に、人生と関係の問題です。
だからこそ、最初の一冊、最初の相談が、その後の結果を大きく左右するのです。
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■執筆者
相続実務士 (株)夢相続 代表取締役 曽根恵子
【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。
- 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部テレビ・ラジオ出演:300回超
- 新聞・雑誌取材:1,000回超
- セミナー:600回超
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