事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
アパートの建物を贈与、保険の3割負担を避けて相続もシンプルに ― 家族が協力し合えた「実例」から学ぶ賢い財産の引き継ぎ方 ―

■家族で話し合って両親をサポート
相続の問題は、「争いが起きる家庭」だけのものではありません。
むしろ、家族仲が良くても、準備をしないまま時間が過ぎることで、手続きができなくなってしまうケースが増えています。
今回ご紹介するのは、ご両親の財産管理を息子さんが中心となって進めたケースです。家族関係は良好で、相続トラブルの可能性はほとんどありません。しかし、ご両親の年齢と健康状態を踏まえると、「今だからできること」がいくつかありました。
夢相続では、生前贈与・相続対策における 提案・契約書作成・登記手配・公正証書遺言の証人対応 までトータルでサポートしています。今回のケースは、それらのサポートを通じて、ご家族が安心して進められた実例と言えます。
■ご家族の状況(相談時点)
相談者は長男のМ(50代)。ご両親は高齢となり次のような状況でした。
- 父親80代:入院中で判断能力が低下。法的手続きへの関与が難しい状態。
- 母親80代:日常生活に支障はないが、軽度の物忘れが見られる。判断能力は現時点で十分。
- 姉60代:地方在住。遠方ではあるが協力的。家族関係はとても良好。
主な財産は、
- 母親名義の賃貸不動産(家賃収入あり)
- 母親名義の預金
- 父親名義の預金と少額の資産
このように財産の種類は多くありませんが、判断能力の低下が進む前に動くことが重要な局面でした。
■まず明らかになった問題 ― 医療費負担の増加
母親には、築年数が経ってはいるものの満室稼働してする4世帯のアパートがあり、毎月25万円の家賃収入があります。
そのため、高齢者の医療費負担は、所得によって 「1割 → 3割」 に変わります。
家賃収入があることで医療費が大きく増える⇒介護や通院が必要になった際、負担が重くなるという構造です。
「不動産を持っているから安心」と思っていたものが、
逆に 生活費を圧迫する要因になる可能性があるのです。
母親はまだ元気で特に大きな病気もなく医療費がかかってはいませんが、年齢が高くなると父親のように入院したり、施設に入居することもあると考えると医療費の1割負担が3割負担になることも想定されて、それも懸念事項となっています。
■解決策が「建物の生前贈与」
保険料が3割負担になることを避けるため、夢相続で提案したことはアパートの建物だけを母親からYさんに贈与することです。
母親所有の建物を Мさんへ贈与 することで、
- 母親の所得(家賃収入)を下げる
- 医療費負担を 1割のまま維持できる可能性が高い
- 不動産の管理と将来の建替え・売却を子が主導できるようになる
というメリットが得られます。
贈与先としてはМさんの「妻」も候補に挙がりましたが、
- 将来の建替え・運用を踏まえると、管理責任者が本人である方が良い
- 賃貸経営は意思決定が必要なため、本人名義の方がスムーズ
という理由から、アパートの建物はМさんに贈与という方針に決まりました。
■土地はただで借りる使用貸借
土地は母親名義のままとして、地代を払う方法もありますが、地代を払うと母親の収入になります。そこで、ただで借りるということも認められていますので、無償で借りることを提案しました。
そうすることで家賃は建物を所有するМさんが受けとるとなり、母親の収入は減らせるのです。
■贈与税はどうなる?評価額の算定
贈与税は、もらった財産の評価額に対して課税されます。
今回の不動産は築年数が古く、建物の評価額は 約100万円前後 と想定。
贈与税には 年間110万円の基礎控除 がありますので、
贈与税はかからない見込みとなりました。
土地評価については、固定資産税評価証明書により確認すると、
こちらも大きな課税の懸念はありませんでした。
■相続全体の調整 ― “公平性”のある分け方
|
財産 |
対応 |
理由 |
|
賃貸不動産 |
Мさんに贈与 |
管理・将来の建替えを担うため |
|
預金(母) |
姉が相続 |
妹側の取り分を確保しバランスを取るため |
|
父の財産 |
亡くなった際に遺産分割協議 |
判断能力低下により事前対策が難しい |
さらに将来へ備えるため、
家族の合意書(意思確認書)を作成し、考え方を記録
しておくことも決定しました。
■ここで重要になる「手続きの専門性」
生前贈与は、思っている以上に手続きが複雑です。
必要な作業の一部を挙げても、
- 贈与契約書の作成
- 登記申請書の作成
- 登記識別情報・印鑑証明書等の確認
- 不動産評価額の算定
- 受贈者の住民票など書類の整備
- 税務署への申告が必要となるケースも
また、遺言書も「自筆」で作ることはできますが、
内容の不備により 無効になったり、家族がもめる原因になることが少なくありません。
■夢相続が行ったサポート
夢相続では、単なるアドバイスだけで終わることはなく、事務までサポートします。
今回提供したサポートは次のとおりです
|
サポート内容 |
詳細 |
|
生前贈与の設計 |
贈与先・時期・税負担・相続全体との整合性をコンサルティング |
|
贈与契約書の作成 |
法的要件を満たし、将来の紛争を防ぐ内容で作成 |
|
司法書士への登記手配 |
司法書士と連携し、所有権移転登記までワンストップ対応 |
|
公正証書遺言の支援 |
文案作成、必要書類準備、日程調整、公正証書遺言の立会・証人対応 |
|
家族内合意書の作成 |
将来の遺産分割を円滑にするための記録文書を作成 |
特に、公正証書遺言の立会・証人業務は、夢相続に依頼されるケースが非常に多く、
「第三者が同席してくれることで安心できた」とのお声を多くいただきます。
■費用の目安
- 贈与契約書作成
- 司法書士による所有権移転登記
- 必要書類案内
- 合意書作成
- 公正証書遺言支援(証人含む)
合計で 約33〜44万円前後(不動産の評価額・役所費用により前後します)
「税金がかからない贈与で、医療費負担を抑え、将来の相続手続きを簡略化できる」
という効果を考えると、非常に合理的な対策と言えます。
■まとめ ― “いま”動いた人が、将来の不安をなくしていく
今回のご家族は、家族関係が良かったことに加え、
- 判断能力が残っている間に動けた
- 生前贈与で医療費負担を抑えられた
- 相続発生時の手続きをシンプルにできた
という 3つの成功ポイント がありました。
相続は「いつか」ではなく、“いつまでに”動けるかが勝負 です。
「まだ大丈夫」は「もうできない」につながることがあります。
ご両親が元気である今こそ家族で話し合うタイミングです。
夢相続では、財産の評価から、贈与・登記・遺言の実務サポートまで、
ワンストップでお手伝いできます。
■参考情報 医療費負担のポイントは「所得金額」と「住民税課税区分」
80歳以上(後期高齢者)の医療費負担は、次の 3区分 のいずれかになります。
|
区分 |
自己負担割合 |
判定基準(世帯単位) |
|
一般 |
1割 |
課税所得が 28万円以下 |
|
一定以上 |
2割 |
課税所得が 28万円超(単身年収 約160万〜約383万円) |
|
現役並み |
3割 |
課税所得が 145万円以上(単身年収 約383万円超) |
つまり、医療費負担が 3割 になるのは、次の場合です
課税所得が 145万円以上
→ 年金、家賃収入、その他収入を合算した結果が該当すれば「3割」
■300万円の家賃収入がある場合の考え方
家賃収入 300万円 がそのまま「所得」ではありません。
不動産所得は、
不動産所得 = 家賃収入 − 必要経費(固定資産税、修繕、管理費など)
で計算されます。
たとえば、必要経費が年間100万円かかっていれば:
家賃収入300万円 − 経費100万円 = 所得200万円
この 200万円 がそのまま課税所得になるわけでなく、
さらに 基礎控除や各種控除(公的年金控除等)が反映されます。
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■執筆者
相続実務士 (株)夢相続 代表取締役 曽根恵子
【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。
- 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部テレビ・ラジオ出演:300回超
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