事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

不動産の共有で家族仲は最悪に!親族間売買は理想論?!結果、売れない。

 

◆不動産を共有している家族は少なからず、あるがトラブルにもなっている 

不動産は大切な財産ですので、家族が一緒に所有しようとされるご家族も少なからずあります。たとえば所有者が亡くなったときの相続の遺産分割のとき、1人で所有するのではなく、相続の法定割合で所有しようということです。不動産は評価が高い財産ですので、分けにくいことがありますので、法定割合で相続すれば公平だと思われるのでしょう。

また、自宅を購入する場合でも、ひとりで購入資金を用意するのは簡単ではありませんので、家族が共同で資金を出し合って購入することも方法ではあります。不動産は資金を出した割合で権利を登記することになります。

このように、相続や購入の場面で、共有名義とした場合、スタートのときは円満でも、その後、状況の変化や感情の変化などにより、意見が合わなくなり、感情的なトラブルとなることはよくあることです。そうしたご相談もありますが、すでに対立し、家族間で話ができない、したくないというところまで追い込まれている方もあります。


◆事例1 貸家を母親、3きょうだいと4人で共有。意見が合わず、まとまらず、売れない!

Fさん(50代・女性)は、父親が亡くなった時にアパートを共有で相続しました。母親が2分の1、Sさんが6分の1、弟2人が各6分の1の法定割合です。

父親は遺言書は残していませんでしたので、家族で話し合いをしたところ、自宅は母親にと決まりましたが、家賃が入るアパートは弟たちが相続したいと主張してなかなかまとまりませんでした。預貯金はたいして残っておらず、アパートは自宅よりも評価が高く、父親の財産の中で一番価値があるものだったのです。

自宅の評価は2000万円ですが、それに比べてアパートの評価は4000万円で、売るなら5000万円程度になると言われていました。

相続の時に売って分ければよかったのですが、母親は売ることに反対し、売って分けてもらいたいFさんと弟たちと意見がまとまらず、申告期限が迫ってきたということもあり、苦肉の策で法定割合で相続したということです。

今回、相談に来られたのは、頑固な母親だけでなく、弟たちとも意見が合わなくなってきて、共有名義のまま維持したくないという気持ちになったため、自分の名義を母親か、弟に売りたいので、できるだろうかということでした。

 

◆事例2 自宅を親、きょうだい3人が共同で購入して住んでいるが、状況が変わった!

Sさん(40代・女性)は、自宅を購入する際、母親が2分の1、Sさんと兄が4分の1の割合で資金を出し合い、購入、同居をしています。父親が亡くなったこともあり、一人暮らしになった母親が自宅マンションを売却して、駅に近い便利なところの戸建て住宅を購入して一緒に住もうということになったのです。

当時、兄も、Sさんも独身で実家マンションを出てアパート暮らしをしていましたので、母親の提案に賛成したのです。探してみると5000万円の築浅の売り物件が出ていましたので、母親が2500万円の現金で、兄とSさんはローンを借りて、購入することができ、共有名義となったのです。

それから数年が過ぎ、兄が結婚して家族が増えたのです。さらに兄夫婦に子どもが生まれることになり、母親と兄から、Sさんが出てくれると助かると言われて、自分の名義がありながら肩身の狭い日常だといいます、

Sさんは、「そうした状況なので、出ていくのはやぶさかではないと考えているのですが、ローンもあり、あらたに住まいを借りたり、買ったりする出費も生じます。それを考えると母親か、兄に自分の持ち分を買ってもらいたいのだが、快く払ってもらえるとは思えない。ふたりが納得するような価格はどのように考えたらいいのか、アドバイスをもらいたい」と相談に来られました。


◆親族間売買の難しさ

FさんもSさんも、それぞれの事情は違えども、不動産を共有しているという形は同じです。家族だから共有という形でバランスが取れていますが、所有者が複数人いるというところで、意思決定には全員の合意と協力がないと何も進みません。

Fさんは、母親と弟たちの4人で共有していてもメリットがありません。アパートですので、家賃は入りますが、家賃を受け取っているのは半分を所有する母親で、子ども3人に分配してくれないのが現状です。そのため、名義はあるが実際の財産としてのメリットがないということになります。

本来は所有する割合によって家賃も按分するべきところですが、母親が代表して受け取り、子どもたちの分はただで借りている使用貸借はよくあることで、母親が税務署に申告、納税していれば税務的な問題は生じません。

けれども、何年もそうした状態ですので、Fさんとしてもそろそろ使える財産にしたいとなったのです。Fさんは母親と弟に売却の話を持ちかけましたが、母親が賛成しません。家賃が生活費となっているため、それがなくなるのは困るので売りたくないといいます。

こうした状況をお聞きしたことでアドバイスしたことは、Fさんは自分の6分の1の持ち分を母親か、弟に買い取ってもらうことです。時価5000万円だとすると6分の1は833万円となります。

Sさんの場合も、気を使いながら住み続けるよりは、別のところに住み替えたほうがいいとなりますので、母親か、兄に、自分の持ち分4分の1を買ってもらうことができれば、問題は解決します。

しかしながら、心情的に親族にお金を払うことに抵抗感がある人が多く、親族間売買はなかなか実現しないことがあります。


◆不動産共有の解消方法は3つ

不動産の共有を解消する方法としてあげられるのは、①一緒に売る、②共有者が買い取る、③持ち分だけ第三者に売却する、の主に3つの方法があります。共有者に贈与する、遺贈するも方法としてはありますが、それでは何も残らないため、今回の選択肢ではないと言えます。

この3つの方法の中で一番、合理的なのは、
①一緒に売る方法です。親族ではない第三者に売却する方法で、売れた価格を、持ち分で按分しますので、各自の権利分がお金として入ります。売れる価格が時価となり、合理的で公平な共有解消と言えます。

しかし、不動産がなくなる、住む家がなくなるということが必須のため、これが最大のネックにもなります。

不動産を売りたくない事情があれば、次の選択肢は、
②共有者が買い取る方法です。このときの買い取る価格の算定が難しいところですが、一般的には流通している時価が税務署に否認されない価格となります。親族だから時価よりもうんと安い金額で売買すると差額は贈与の対象となります。

少なくとも時価の8割と言われている相続評価で売買しておく必要があるとすると、Fさんの場合は666万円、Sさんの場合は1000万円が買取価格の基準となります。

ところが、親族間ではそれだけまとまったお金を払いたくない、払えないという感情があり、なかなか話がまとまらないのです。Fさんも、Sさんも、そうした状態にあります。

もう一つの方法は、
③持ち分だけ第三者に売却する方法です。親族が買ってくれないなら、買ってくれる第三者に売却するという心情になることも理解できるところではあります。共有持ち分が解消できなくて困っているという人が増えたため、それを買い取る専門会社も出てはきましたので、いよいよ困ったらこの方法も致し方ないところではあります。

ただし、他の共有者にとっては他人が一部を所有するイレギュラーな形になりますので、請求されなかった家賃も請求されるでしょうし、他の持ち分も買い取る提案もあるなど、いままでの家族間だけではない緊張感も生じることになります。

Fさんも、Sさんも、もう一度家族間で話ができないか、機会を作ってみるということでと切り直されることになりました。

よかれと思った不動産の共有は家族間で亀裂が入り、感情のすれ違いから断絶になりかねない危険性があります。できるだけ共有しない形を選ぶのが基本だとし、それでも共有が必要であれは、共有を解消する出口も決めることも必須だと言えます。

 

◆相続実務士のアドバイス

できる対策
共有解消の方法は
①一緒に売る、②共有者が買い取る、③持ち分だけ第三者に売却する、の主に3つの方法がある

注意ポイント
不動産はできるだけ共有しない形を選ぶのが基本です。
それでも事情により、共有が必要であれは共有を解消する出口も決めることも必須だと言えます。

 

最初のご相談は無料です。
TEL:0120-333-834
お気軽にお問い合わせください

コラム執筆

 

メールマガジン【相続実務士・実例Report Mail】登録はこちらから
(相続相談事例・セミナー開催・メディア出演情報などをお届け致します) 

まずはお気軽にご相談ください

相続は100人いれば100通り。お客様にとって最も好ましいオーダーメード相続。

代表・曽根恵子とスタッフが、相続に関するご相談を約1時間の面談でしっかりお伺いします

noimage

受付時間:月〜金(祝日のぞく)10:00〜17:00