事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

会社のM&Aがゴールではない。金融資産が8割となり相続税の節税が課題に!

■40年間、夫婦で会社経営をしてきた

Мさん(40代男性)が父親と二人で相談に来られました。80代の父親は3年前に40年経営した土木関係の会社を、取引先に譲渡。いわゆるМ&Aをしてリタイヤされたといいます。

父親は地方から関東に出てきて、学校を卒業してから建築業に入り、経験を積んでから自分で会社を作って独立しました。父親が代表で、母親は経理としてずっと一緒に仕事をしてきたと言います。取引先にも恵まれて、40年間、順調に経営してこられました。70代半ばになり、体力的にも仕事の継続が難しくなったことから、顧問税理士や取引銀行からもアドバイスされて、事業承継に取り組むことになりました。

Мさんは大学を出て、別の業界に就職しており、妹は結婚して家を離れています。よって二人とも父親が興した土木の仕事である会社を手伝うことはしてきませんでしたので、子どもが事業承継する選択肢はなかったと言います。

 

■事業承継は取引先とМ&Aした

父親の会社は堅実な仕事をしてきたことから、取引先の上場会社が引き受けたいということで、譲渡することができ、Мさんの両親は会社を円満退社することができたと言います。父親は代表者として、母親は経理担当の役員として長年会社に貢献してこられましたので、両親ともに株の譲渡益と退職金を得ることができたのです。

堅実な会社経営をしてきたことから、株評価も、退職金も納得できる額だったことからМ&Aできて一安心というところです。ところが、個人の相続で見ると、今度は相続税の課題が出てきます。Мさん家族は相続税対策が必要だと感じて、相談に来られたのでした。

 

■金融資産が財産の8割を占める

父親と母親の財産の概略をお聞きしたところ、自宅の不動産の他にも賃貸物件は3つほど保有されていますが、それでも株の譲渡代金、退職金の金融資産が多く、両親ともに財産の8割以上が金融資産とわかりました。このままにすると父親は9000万円、母親は4000万円の相続税がかかることも試算することができました。このままではせっかく会社をМ&Aしたのに相続税で減ってしまうということです。

これでは残念だと、ご両親もМさんと妹もなんとかしたいということで、委託を頂き、相続プランのご提案をすることになりました。

 

■配偶者の特例を生かせない

相続のとき、配偶者には特例があり、「財産の半分、あるいは1億6000万円までは相続税は無税」となります。メリットの大きい特例ですので、多くの方はこの配偶者の税額軽減という特例を利用されます。

しかし、夫婦ともに1億6000万円以上の財産がある場合、この特例を利用すると次の相続で子どもたちが支払う相続税が多くなるのです。このため、1次相続ではこの特例を利用せずに、配偶者が相続する割合はなしとして、子どもたちが相続して、納税していくことが相続税の納税額を最小限に抑えることになります。

但し、これは、二次相続までには財産が変わらなかった場合で計算をしています。仮に1次相続で配偶者の特例を適用して納税は最小限、あるいは0とし、二次相続までに相続税の節税対策をすることができれば、次の相続税も減らすことは可能です。

 

■現状の分析とご提案

ご両親の財産の現状分析は下記のとおりとなりました。

1.金融資産が、財産の8割を占めており、多額の相続税がかかる

2.現金比率が50%以上あり、相続税評価が高い

3.配偶者の特例を使うメリットは少ない

4.分割案を含めた、公正証書遺言書が必要

 

課題解決となる対策は下記の内容をご提案します。

 

【経済面】

1.現金及び金融商品を活用し、資産組み換えによる相続税の節税と 収入増になる対策を提案します

【感情面】
2.分割案を作成し、公正証書遺言を提案します。

 

■不動産対策のメリット 【購入】という不動産対策

資産は現金や株などの金融資産より不動産で持つことが節税対策になります。 現金で賃貸不動産を購入するという方法です。

なぜ、現金より不動産で持つほうが節税には有利になるかというと、現金を不動産に替えることによって評価が下がるからです。

 

◇現金1億円で賃貸マンションを購入すると評価は半分以下になる

建物5000万土地5000万計1億円でマンションを購入し、賃貸した場合の相続税評価額は以下のようになります

 

(1)建物の評価額 購入価額の30%の固定資産税評価額になる

5000万×30%=1500万

賃貸すると『貸家』となって借家権割合が控除出来るので 
1500万×70%=1050万

 

(2)土地の評価額 購入価格の80% 5000万×80%=4000万

さらに賃貸すると『貸家建付地』となって借地権割合×借家権割合が控除できるので 
4000万×(1-(0.6×0.3))=3280万 

 

(3)建物と土地の相続税評価額(1)1050万+(2)3280万=4330万

物件購入代金で現金が1億円減少します。相続財産も1億円減少します。
増える建物と土地の相続財産は4330万です。差し引き5670万円が節税できたことになります。

 

■現状の相続税と対策後の相続税の想定比較

父親の財産から金融資産で節税対策をした場合と、相続税を0にする場合のバランスを検証してみました。

 

◇現状の財産 3億5000万円

金融資産  3億800万円・・・金融資産の収入はほぼ0

相続税   7622万円 ※小規模宅地等適用後

 

◇金融資産を全部、賃貸不動産にした場合 購入

金融資産 0 ※ただし、毎月家賃収入が入る

相続税は1290万円

収入 1232万円

 

◇相続税を0にするには

財産評価 4783万円・・・4800万円以下に

金融資産 0 ※ただし、毎月家賃収入が入る

借入   1億3000万円

収入   1752万円

 

■提案のまとめ

1.配偶者の税額軽減にはメリットが少ないため、 現金を活用した不動産対策を進める

2.財産の渡し方を検討 二次相続を見据えた分割案を協議 公正証書遺言の作成 資産管理会社の検討 上記について順番に取り組んで頂けるようサポートさせて頂きます。

Мさん親子は、金融資産のままでは相続税の負担が大きいこと、不動産対策が節税効果が高いことがわかったので、不動産対策に取り組みたいと前向きに検討されています。次はМさんと妹に継承していくため、バランスよく分けられるような不動産の持ち方を提案していきます。

 

 

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