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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

会社を作れば相続対策になる?資産管理会社も出口が必要。

 

■代々の土地を生かした賃貸経営が家業

Hさん(60代女性)は父親から土地など財産を相続して、妹(60代)と一緒に資産管理会社を運営しています。父親の財産は約5億円ですが、ほとんどが不動産です。祖父の代が賃貸事業をしており、ほとんどの土地に5棟の賃貸アパートや賃貸マンションを建てて運営しています。Hさんの住むエリアには大学があり、すべて学生向けのワンルームですが、ほぼ満室で賃貸事業は軌道に乗っています。

父親には相続の仕方は普段からの家族の合意もあり、その内容のとおりの公正証書遺言も作ってくれていましたので、相続手続きは実にスムーズに済んだといいます。Hさんの悩みはこれからのことで、相談に来られました。

 


■資産管理会社はどうする?

Hさんと妹は20代の頃は会社勤めをしていた時期もありましたが、両親が50代になり、賃貸管理が大変になる前にと、娘二人で引き継ぎ、会社を作って運営してきたと言います。

Hさんの資産は、父親から相続した不動産が主で、総額約5億円ですが、アパートの建築費と土地を購入して建てた賃貸マンションの借入があり、半分は返済しましたが、まだ3.5億円。けれども父親の相続税は財産総額から借入を引くことができたため、相続税はそれほどかからず、不動産対策が功をなしたといえます。

Hさんの相談はこれから自分の相続のことを考えないといけないが、一番気になっているのが資産管理会社だと言います。

 

■きょうだい経営をしてきた

賃貸アパートは祖父の相続対策として建てたもので両親が管理してきた姿は見てきました。毎日のようにアパートのごみ置き場や廊下や外回りの清掃に行き、空室になればリフォームの手配やクリーニングは両親が自分たちでしていました。

清掃はほぼ毎日していましたので、妹と2人で協力することにして、会社を設立しました。アパートの1室を事務所にして、毎日、仕事をしてきました。

アパートもマンションも入れ替わりはありますが、ほぼ満室で、賃貸事業は順調です。けれども、Hさんも妹も60代になり、父親も亡くなり、このままでいいのかと考え始めたと言います。清掃やクリーニングがだんだん大変になってきたこともあります。

 

■今後の主な課題 子どもたちは経営できるか?

自分の相続はまだ先だとしても、いつ、なにがあるかわかりません。急なことになってもいいようにしておく必要があります。また、相続になる前に時間をかけて解決しておくことも必要です。

そこで、Hさんから「相続プラン」の委託を頂き、現状分析、課題の提示、課題解決策の提案の順に整理して、提案しました。

 

いままでを整理すると下記になります。

生前に「資産管理会社」を設立 → 娘2人がリフォーム等を実行管理 

父が他界。現在、娘2人(60代)が資産管理を継続 

娘たちにはそれぞれ子どもが2人ずつ(合計4人の孫世代)

次の世代(孫世代)への承継・分配・管理方針で悩んでいる

これからの課題をあげてみると下記のとおり。

 

  1. 娘2人の高齢化により、次世代(孫)への移行計画が急務
  2. 孫が4人 → 株式や資産をどう公平・効率的に承継させるか
  3. 「資産管理会社」を続けるか清算するか、判断が必要
  4. 相続税・贈与税・法人税の税務コントロールが複雑化している

 

解決策(ステップごとの提案)

 

課題ごとの解決策を

 

【ステップ1】株主構成と事業承継方針の確認・整理

  • 現在の資産管理会社の株主比率・名義を明確化
  • 娘2人が均等保有なら →孫世代にどう分けるか(例:信託・持株会社)を設計
  • 株式の一部を孫世代に贈与 or 遺言信託で承継させる選択肢も視野に

 

【ステップ2】将来的な「運用方針の統一」と「合意形成」

  • 家族会議(資産管理会社の現状・収益・負債・契約状況)を孫世代にも共有
  • 会社として「賃貸運営を続ける」か「清算・売却も選択肢に含める」か、意思統一
  • 必要に応じて、ファミリートラスト(家族信託)や定款変更を検討


【ステップ3】税務と法務のコンサルチームを組成

  • 相続税・法人税・不動産譲渡に詳しい**税理士・司法書士・相続実務士®**を連携
  • 将来の「法人株式の評価額」「納税原資」「分割方針」をシミュレーション
  • 会社を継続するなら「議決権の整理・収益分配の明確化」が重要

 

まとめ

Hさんは妹と2人で運営してきた資産管理会社について、これからは別々に運営するなど、今のうちから分ける必要があると認識されたようです。いままでは姉妹仲良く運営して来られましたが、これからのことを考えるとそうはいかないと感じていると言います。とくに自分たちの相続になり、自分の子どもや甥姪が運営することを考えると、運営者が4人になることからすでに難しくなります。よってまずはきょうだい個々の財産にして、それぞれ別に会社を運営するのか、あるいは会社は解散して個人経営にするのか、選ぶ必要があります。

当社では相続プランの提案の中で選択肢を用意しますので、しまい、家族で話し合って頂いて、最良の方法を選択して頂くよう説明しました。

Hさんはこれから少し時間をかけて話し合って、円満な方法を選んでいきますと。方向性が見えて少し気持ちは楽になったと言っておられました。

 

課題

解決策の方向性

娘2人の後継者問題

株主の次世代移行(信託・贈与)+合意形成

孫4人での分配

会社清算 vs 承継継続の判断+資産評価調整

法人化の将来性

会計・法務・相続面からの多面的な再設計

 

■資産管理会社のメリット

メリット

解説

✅ 不動産等の一元管理が可能

個人では分散しがちな不動産や収益を法人で集約管理できる。

✅ 相続対策としての評価圧縮効果

株式を次世代に分散移転することで、直接不動産を相続するより評価額が下がる可能性がある。

所得分散・節税がしやすい

子や孫を役員・社員にして報酬を支給すれば、所得税・相続税対策になる。

意思決定の仕組化

定款・株主構成・取締役体制により、事業承継ルールを明文化しやすい。

 

 

資産管理会社のデメリット

デメリット

解説

⚠️ 相続時に「株式の分配でもめる」可能性あり

会社を「どう誰に何%分けるか」が明確でないと争いに。

⚠️ 配当ではなく「会社から出せるお金が限られる

法人の資産≠個人の自由財産。自由に引き出せないジレンマ。

⚠️ 法人の管理コスト・税務手続きの負担

会計・法人税申告・登記変更など、手間が増える。

⚠️ 孫世代が経営参加できない場合、機能不全や凍結リスクが出てくる

放置・分裂・廃業などになる可能性も。

 

 

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