事例
相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
更地のままだと税金が下がらない!土地活用して節税になる。
■自宅土地は80坪 半分に建てている
Nさん(60代男性)が自宅の土地活用について、相談に来られました。
Nさんは両親と二世帯住宅で同居されています。20年前にいまの建物に建て替えて、二世帯住宅にしたといいます。
それまでは、父親(90代)が所有する80坪の自宅敷地の半分にもともと同居する家がありました。築年数が経ってきたことやNさんの子どもが大きくなったこともあり、空いている敷地に3階建ての二世帯住宅を新たに建てて、住みかえたのです。それまで住んでいた家は祖父の代に建てられたことから築年数が経っていました。それを解体して更地になりましたので、自宅敷地の半分は空き地になっています。
■自宅の固定資資産税が年間60万円以上!
今年の6月に固定資産税通知が送られてきましたので、Nさんに持参してもらいましたところ、634500円!
二世帯住宅とはいえ、自分の家に住んでいるだけなのに、毎月5万円以上の固定資産税を負担しなければならないということです。父親はまだ自宅で生活ができていて、年金が入るというものの、その負担は少なくありません。
Nさんにとっては、固定資産税の額も気になるということでした。
■母親が先に亡くなった
Nさんが自宅の土地活用をしたいと動き出された理由はもうひとつありました。父親が90代になったということもありますが、2年前に母親が亡くなったのです。父親よりも5歳下ですので、父親が先に亡くなれば、母親の配偶者の特例を生かして無税のメリットが生かせるとぼんやり考えていたと言いますが、それが使えなくなってしまい、いよいよ、相続対策に取り組まないといけない状況になったといいます。
■そもそも相続税はどれくらい?
Nさんの心配は、そもそも父親が亡くなったら、相続税がどれくらいかかるかを知っておきたいということもあるといいます。
そこで、Nさんよりヒアリングした金融資産もふくめて財産評価をしてみますと、父親の財産は2億7200万円、相続税は約8000万円となりました。
Nさんは父親と同居をされているので、小規模宅地等の特例を適用すると相続税は3300万円程度で半分以下となります。
父親の金融資産はちょうど相続税分程度あり、金融資産に余裕があります。相続税が払えるという安心感はありますが、残しているために相続税が課税されていることでもあります。それを建築費の一部にすれば相続税の節税にもなります。
■参考の建築プラン
賃貸事業をするにつき、アパートメーカーに参考プランを作成してもらいました。
最寄駅から徒歩5分の立地の良さがあり、賃貸事業に適しているといえます。
参考プランは、木造3階建て9戸、事業費9500万円とします。
◇提案内容まとめ
- 25–28㎡クラス(6戸):月額9.5〜10.5万円が予想範囲
- 32㎡クラス(2戸):月額12〜14万円前後が見込み
- 総月額収入:約95~100万円
- 年収換算:約1.14〜1.20億円(12か月×月額想定)
🧱 ご提示の費用内訳(税抜/税込不明のため税抜として計算)
費目 |
金額(万円) |
本体工事費 |
6,700 |
外構工事費 |
220 |
設計管理費 |
280 |
地盤改良費(推定) |
300〜500 |
杭工事(推定) |
200〜400 |
予備費(5〜10%) |
約700 |
💰 総事業費 試算
- 本体工事費:6,700万円
- 外構工事費:220万円
- 設計管理費:280万円
- 地盤改良費+杭工事:500〜900万円(中間値:700万円想定)
- 予備費(約8〜10%):約700万円
総事業費の目安
計:6,700 + 220 + 280 + 700 + 700 = 8,600万円(税抜)
備考
- 地盤調査結果や杭仕様によっては大きく変動あり
- 消費税(10%)を含めると、税込 約9,460万円
- 登記費用、融資関連費用、火災保険等の「諸費用」は別途必要なケースも多いです
📌 事業条件
項目 |
内容 |
総借入額 |
9,500万円(フルローン) |
金利 |
1.5%(固定) |
返済期間 |
35年 |
返済方法 |
元利均等返済 |
戸数 |
9戸 |
家賃収入(月) |
約96.5万円(前回答より) |
家賃収入(年) |
約1,158万円 |
💰 ① ローン返済額(年)
- 月返済額:29.07万円(=290,700円)
- ※借入額9,500万円/金利1.5%/35年 → シミュレート値
- 年間返済:約348.8万円
🏘 ② 年間賃料収入(満室想定)
面積帯 |
戸数 |
想定家賃(月額) |
合計(月) |
合計(年) |
25.88㎡ |
3戸 |
9.5万円 |
28.5万円 |
342万円 |
27.53㎡ |
4戸 |
10.5万円 |
42.0万円 |
504万円 |
32.03㎡ |
2戸 |
13.0万円 |
26.0万円 |
312万円 |
合計 |
9戸 |
96.5万円 |
1,158万円 |
◇賃料相場(新築マンション・駅徒歩圏)
- SUUMO調査(新築+徒歩1~5分)
- ワンルーム:9.1 万円
- 1K:9.5 万円
- 1DK:11.3 万円
- 1LDK:14.6 万円
- ハウスコム(新築・貸マンション)
- 20~30㎡:8.4 万円
- 30~40㎡:空き – ただし全体1R‑1LDK平均は9.6 万円
- Yahoo!不動産
- 〜1DK:10.3 万円
- 1LDK:14.2 万円
- 全体相場
- 駅近新築物件はおおむね 9〜15万円/月 の範囲で推移)
- 駅近新築物件はおおむね 9〜15万円/月 の範囲で推移)
🏘 参考プラン 面積別・想定家賃(各戸)
専有面積 |
間取り想定 |
家賃目安(月額) |
25.88㎡ ×3戸 |
1K |
9.0~10.0万円 |
27.53㎡ ×3戸 |
1K/1DK |
10.0~11.0万円 |
27.53㎡ ×1戸 |
同上 |
10.0~11.0万円 |
32.03㎡ ×2戸 |
1DK/1LDK |
12.0~14.0万円 |
- 25–28㎡(1K〜1DK):徒歩5分以内・新築条件で家賃は 約9~11万円 が標準
- ワンルームより広いため、多少高めに設定可能
- 32㎡(1LDK相当):新築で駅近なら 12~14万円 が市場水準
🔧 他に考慮すべき要素
- 立地条件(駅距離、1~5分圏内か)
- 設備仕様(追い焚き、浴室乾燥、オートロック、宅配BOX 等)
- 管理費・共益費:別途設定する場合は+1~1.5万円程度想定
- 需要見込み:単身~DINKS向けのサイズ層で賃貸需要は安定傾向✅ 合計収入予想(月額・税込み想定)
- 25.88㎡ ×3戸:9.5万円 ×3 = 28.5万円
- 27.53㎡ ×4戸:10.5万円 ×4 = 42.0万円
- 32.03㎡ ×2戸:13.0万円 ×2 = 26.0万円
合計想定賃料:96.5万円/月(管理費別途加算)
💡戸数 |
9戸 |
家賃収入(月) |
約96.5万円(前回答より) |
家賃収入(年) |
約1,158万円 |
■相続税はどうなる?
アパートの事業費9500万円を総額借入し、建物が増えた場合は相続税が半分以下になり、そこから自宅と賃貸用の小規模宅地等の特例を適用すれば相続税はほぼかからなくなります。
アパートの事業費を現金で賄う場合、額面通りの現金から、建築費の30%程度の建物の固定資産税評価になり、さらに貸家評価になりますので、やはり確実な節税になると言えます。
ただし、まとまった現金が一度に手元からなくなってしまうことの不安はあると言えますので、事業費は総額借入をして調達し、現金は贈与するなどして少しずつ減らしていく方法を組み合わせる方法が現実的でしょう。
Nさんは「自宅の空き地の土地活用が効果的だということがよくわかれました。あとは建築会社を選定して、早めに決断します」と。ほっとされたようで、具体的な相続対策が進みそうです。
最初のご相談は無料です。
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