事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

相続は息の長い、奥の深い仕事。20年前、30年前のお客様ともつながっている。

■20年前のお客様

9時過ぎに電話を頂いたKさん。平成11年に出した一冊目の本を読んで父親の相続プランの依頼をされたお客様です。その後、父親の生前プラン作りをさせて頂き、次に父親の遺言書作りをサポートしました。

父親が亡くなったのは、遺言書を作成されてから8年後。相続税がかかる財産のため、遺言書をもとにして、相続税の申告のコーディネートをしました。

それからさらに10年。今回は母親の遺言書作成のサポートをさせていただきました。父親は70歳になったので遺言書をというきっかけでしたが、母親は80代半ばでようやく遺言書を作成されました。

Kさんは最初に連絡を頂いてから、実に20年以上前のお客様になります。「夢相続に頼んでよかった、これからもお願いしたい」ということを伝えるためにお電話いただき、有難い限り。Kさんのエピソードは私の著書「相続はふつうの家庭が一番もめる」の「おわりに」に書いているKさんでもあります。

 

■相続は家族のドラマがある

いままでに数えきれない程多くの方にお会いし、どなたにも人生のドラマがあり、価値があると感じる出会いをしてきました。それは、ひとそれぞれの個性そのもの、生き様、人生だということでしょう。私がお会いする多くの方は、ご家族が亡くなったあと、相続人の立場で相談に来られますので、亡くなった方にはお会いしたこともなく、もうお会いする術もありません。けれどもご家族の話を通してご家庭像があからさまになる中で、亡くなった方のお人柄や生き様も不思議なくらい見えてくるのです。

 多くの方は自分の意思を残さないまま亡くなってしまいます。そのために家族が争う結果になるご家庭があることは残念であり、本来の相続の形ではないと思えてなりません。こうした日常の中、私は、「相続」とはどういうことだろうと自問してきました。

 答えはひとつではないでしょうが、常々思うことは、財産を分けることだけが相続ではないはずです。

 本来の相続は、亡くなった方の生き様そのものを残し、伝えるセレモニーでなくてはならず、ご本人も、残されるご家族も、感謝や慈愛に満ちた厳粛なものであるべきだと思えるのです。だからこそ、亡くなった方や残された家族が双方に感謝すること、配慮することで本来の相続のあり方になると思うのです。

それを実感した相続コーディネートをさせて頂いた2つのご家族をご紹介します。

 

 

■3兄弟

Jさん(40代)は三人兄弟の三男です。父親は、生前に自分が起こした会社を3つに分割し、もめないようにと3人の子供に継承させてリタイアされたとのこと。その後、ご長男(50代)の依頼で、母親の相続のプランを作り、二次相続に備えました。

 昨年、母親が亡くなったときには、3人とも会社社長で多忙ながらも、打ち合わせには毎回、全員が来て頂き、評価の算出、分割案、税額など、必要なことはJさんご兄弟、担当税理士、 当社の全員が情報を共有しながら、円満に進めることができました。

最初から最後まで、印象的だったのは、互いに配慮しながら進められたことです。そして、すべての手続きが終わったあと、Jさんからメールわいただききました。

「こうして円満に相続が済んだというのは、両親・先祖のおかげだと思っています。今にして思えば、父親の心ある対応を感じて育ちましたので、私たち兄弟の判断基準に、亡き親に対する感謝の気持ちがあったのだと思います。つまり、「どうしたら亡き両親が喜ぶのか、安心なのか」という判断を していたということです。それは、自分のことは後にして、兄弟のことを先に思うことでした。相田みつを の詩で「奪い合えば足らぬ、分け合えば余る」というのがありますが、そのことを思い出しました。」と綴られていました。

 

■それを実感した相続コーディネートをさせて頂いたご家族の事例

Kさん(50代)には妹さんがいらっしゃいます。農家の長男だった父親は親から相続した土地を活かして賃貸業をしてきました。Kさんも父親の賃貸ビルの中で飲食店を経営しています。父親の資産が多いので、相続になっても困らないようにと、Kさんは10年以上も前から相談プランを作っていました。父親が70歳になったときに、家族全員で相談に来られてコミュニケーションを取りながら、それぞれの希望にあった遺言書作りをしました。 5年後に父親は脳梗塞で倒れて入院したときは、妹と一緒に今後のことをアドバイスしてもらいたいと来られるなど、常に家族のコミュニケーションを取ってこられました。ほどなく父親が亡くなりましたが、父親の遺した公正証書遺言があり、何事もオープンにして相続手続きをすることで、円満に終えることができました。落ち着いた頃、Bさんとお話しする機会がありました。

「親の財産は、そもそも自分で作ったものではないので、多くもらおうと言うこと自体、虫のいい話。互いに譲り合える、ほどほどのところでという気持ちを持てばもめることはない。親の財産をもらえることは先祖からのものを継承することで、有り難い」と言われたのです。

 両家ともご家族の人徳だと言えますが、ほんとうに心に響きました。親に感謝すること、互いに配慮することは、本来の相続の在り方のはずですが、残念ながらそうではないご家庭が多く、いまや「相続の理想型」と言わなければならない現実もあります。

 これから相続を経験されるすべての方が、JさんやKさんのような気持ちになって頂く

ために、本書のテーマである”家族のコミュニケーションを取り、互いに感謝、配慮してもめない相続を用意する”ことに取り組んで頂くことを祈念し、私たちにできることを真摯に取り組んでまいります。ご相談や相続のときにお会いできればぜひ相続ドラマを聞かせて頂きたく、また、お手伝いする機会があれば幸いです。

 

 

■相続は息の長い仕事 困っている人のためにサポートしようと始めた

私が相続コーディネートに関わるようになったのは、平成4年のことです。私は昭和62年に不動産会社を設立して独立しました。土地を所有される方にアパートやマンションのプランニングをして建てて頂き、管理をするという賃貸管理を主体とした不動産コンサルティング業務を行う会社をはじめたのです。

平成になって土地の評価が急激に上がり、相続税も高額になり、大変な状況になっていました。平成バブルと言われた時代です。そのため賃貸管理の当社にも土地を売ってもらいたいと来られるお客様が増えていました。なぜ土地を売られるのかお聞きすると「相続税を納税するため」という方ばかりだったのです。

相続税の申告をしても、一度に相続税が払えない場合、20年の分割払いをする延納の申請をされている方が多く、担保提供をしている大蔵省の抵当権がついている土地を売る方ばかりでした。期間が20年間ですので、納税計画を立てていないといけないと思うのですが、売却の優遇措置のある3年の期間を過ぎてから売られる方もいて、高額な相続税に困っている方ばかりを見てきました。

そうした状況でも、相続人が困っているばかりで、それまでサポートしてきたであろう専門家の姿はまったく見えませんでした。

 

■ご家族が困らないようにサポートしたい

古い平屋の貸家が空く都度、6棟のアパートに建て替えて頂いていた大家さん(Kさん)が平成4年の暮れに亡くなりました。まだ60代で急なことで、奥さんと4人の子どもはどうしていいかわからないという状態でした。私は身近でアパートを管理させて頂いている立場として力になりたいと思ったのです。なによりKさんは最初に大家さんになって頂いた方でしたので、残されたご家族が困らないよう恩返しをしたいという気持ちでした。

 それまでに見てきた相続税のために土地を売られたお客様は、相続税の申告が終わったときには納税ができずに分割払いをし、結果、利息も払いながら土地を売却して納税されていました。その間、本当に苦労されていました。

このような経験もあり、相続人が困っている様子ばかりを見てきましたので、そんなに大変な思いをされる相続とはどういうものかを知りたいとも思いました。大家さんご家族が困らないように、相続を知る機会にもしたいと、相続の手続きに関して最初からサポートすることにしたのです。

 

 

■亡くなってからでも相続税が減らせた

Kさんの財産は1000坪の土地に自宅や娘家族の家、アパート、貸家があり、不動産がほとんどでした。相続税の申告を依頼した税理士は不動産の実務に関する知識はまったくなく、遺産分割や相続税の納税資金の捻出はこちらから提案するようにしました。

納税できる現金はほとんどないので、少しでも相続税を安くできないか、税理士に何度も掛け合い、私も税務署にも何度も出向きました。

そしていくつかの方法により、相続税を安くすることができたのです。まず、宅地の真ん中を通る私道を相続後に分筆し、通り抜けできる道路として整備しました。これで道路の土地は評価が0にできました。次に、税務署に申請して、あらたに整備した私道に路線価をつけてもらいました。公道よりも2割程度低い路線価評価となりました。

さらに一体だった土地を建物ごとに測量して、分筆しました。奥さんは自宅と貸家、4人の子どもたちはそれぞれに自宅やアパートを相続するようにしたのです。こうすることで、もとの公道に面した土地は2か所となり、残りは低くなった路線価に面した土地になりましたので、残りの土地はすべて評価が下げられたのです。

その結果、最初は3000万円の納税が必要だと言われていた相続税でしたが、1960万円まで安くできたのです。これは大きな衝撃でした。亡くなってからでも、土地を分筆し、路線価評価が低くなることで土地の評価も下げることができました。そうすることにより相続税も下がるということに気がついたのでした。まだできることがあると気がついたことは大きな発見となりました。

この大家さんのKさんの相続がきっかけとなり、相続コーディネートの仕事がスタートしたのでした。そして続けるほどに、「相続は息のながい仕事」だということを痛感しています。

 

最初のご相談は無料です。
TEL:0120-333-834
お気軽にお問い合わせください

 

 

コラム執筆

 

メールマガジン【相続実務士・実例Report Mail】登録はこちらから
(相続相談事例・セミナー開催・メディア出演情報などをお届け致します) 

まずはお気軽にご相談ください

相続は100人いれば100通り。お客様にとって最も好ましいオーダーメード相続。

代表・曽根恵子とスタッフが、相続に関するご相談を約1時間の面談でしっかりお伺いします

noimage

受付時間:月〜金(祝日のぞく)10:00〜17:00