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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

自宅売却は2人で特別控除を使うと譲渡税が安くなる!母も息子も自宅を相続。

 

■父親が亡くなり、相続が発生 財産をどう分けたらいいのか?

Sさん(50代・女性)はYahoo!ニュース!で紹介された記事を読んで相談に来られました。三カ月前に父親が亡くなり、母親と2人で相続の手続きをしなくてはならないとのこと。子どもがひとりで、相続トラブルになる要素もなく、シンプルなのですが、二次相続を考えると、財産をどのように分けたらいいのかわからないので、アドバイスをしてもらいたいというのがSさんの相談の内容でした。

 

■自宅と貸家をどのように相続したらいいか?

父親の財産は、自宅6000万円と貸家8000万円の2か所の不動産と金融資産3000万円で、財産の総額1億7000万円で相続税は2440万円かかると試算されましたので、相続税の申告が必要だとわかりました。

相続税は預金で払えるのですが、できれば節税になればということで、相続コーディネートの委託を頂き、夢相続でプランをすることになりました。

Sさんは仕事の関係で通勤しやすいエリアにマンションを借りていて、自宅は母親がひとり暮らしとなりました。母親は現在78歳。いまのところは一人暮らしでも問題はないと言えますが、将来は同居してもらいたいし、Sさんが介護することは望まないので自宅を売ってケアが受けられる老人ホームに入所したいというのが母親の考えだといいます。

 

■遺産分割案を作ってシミュレーションする

父親は遺言書を残していませんでしたので、母親とSさんで財産の分け方を決めて、遺産分割協議をする必要があります。

分け方の案はいくつか作ることができますので、想定しました。

1.法定割合で分ける案

2.配偶者の特例を使って節税する案

法定割合で分ける場合は、母親は納税なしですが、Sさんは1220万円の相続税を払う必要があります。預金で払えるというものの、納税の負担が大きいため、2の配偶者の税額軽減を活用する案を検討しました。

配偶者は財産の半分、あるいは1億6000万円までは無税となる特例です。仮に母親が財産の全部を相続し、居住用の特例、自宅の土地330㎡まで80%減になり、自宅の土地は4200万円減額できますので、財産評価は1億2800万円となり、1億6000万円以内になります。母親が全部を相続すれば納税はゼロにできるということです。

 

 

■貸家が空室のため、評価減や特例が使えない

貸家にしている家はもとの自宅でしたが、現在の家を購入したあとは、貸家として賃貸していました。けれども父親が亡くなる2年ほど前に入居者が退去したあとはリフォームするか、建て直すかで迷っていて、結果、空家のまま相続を迎えてしまったといいます。そのため、貸家建付地評価ができず、土地は更地評価、建物も減額がなく、小規模宅地等の特例も使えない状況でした。

二次相続を考えると、空家は避けたいため、まずはリフォームして貸家として賃貸するようにアドバイスしました。貸家の土地の場合は、土地の評価200㎡まで50%減の評価ができます。

小規模宅地等の特例は、適用するところを選択でき、組み合わせもできますので、どちらにどれだけ適用すれば効果的かを比較して決めることができます。自宅の面積や貸家の路線価により、判断するようになります。

 

■二次相続に備える資産組替えを提案

仮に母親が全財産を相続し、母親の独自の預金2000万円も足したところで、二次相続の相続税額を試算してみました。

父親から相続した財産1億7000万円と預金2000万円を合わせた1億9000万円から引ける基礎控除は3600万円だけ。相続税は4460万円となり、やはり負担が大きいと言えます。

また、母親はいずれ自宅を売却して、老人ホームへ入所したいということですので、売却時の譲渡税も合わせて考えると、母親一人で売却するのではなく、Sさんも相続して同居

したうえで、売却するほうが譲渡税が少なくできるのです。

よって、母親の二次相続を見据えた相続の仕方とその後の母親の節税対策も合わせて検討してご提案しました。

 

■自宅を売却するときは3000万円特別控除の特例が使える

不動産を売却して利益が出ると、その額に応じて税金がかかります。自宅の土地、建物も同様です。けれども、自宅は生活をするところで、住み替えが必要になりますので、税金の負担が軽減できる特例があります。マイホームを売却したときの税金を大幅に抑えられる制度として「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」、いわゆる「3,000万円特別控除」があります。この特例では、マイホーム(居住用財産)を売ったとき、所有期間の長さに関係なく、譲渡所得から最高3,000万円までを控除できます。  売却する自宅を夫婦や親子で共有しているときには、それぞれ3,000万円まで、合わせて6,000万円まで控除することができます。ただし、実際に自宅として住んでいなければならず、名義だけ共有していて、別の場所に住んでいるということでは、適用できないのです。現在、Sさんは別のところの賃貸マンションに住んでいますので、そのままでは特例は使えませんが、売却するまでに同居しておけば特例を使うことができるのです。

 

■特例をつかうためには相続して、同居しておかないと

自宅の評価は6000万円ですが、売却する時価を調査してみると、9000万円から1億円程度だとわかりました。仮に9000万円で売却できるとすると、特例が使えない場合は1700万円、母親が特例を使うと1100万円以上の譲渡税がかかります。そこで、Sさんが今回の相続で自宅の3分の1を相続し、同居したのち、母親と一緒に売却すると、3000万円特別控除は二人分6000万円適用することができますので、譲渡税は500万円程度になり、最大で1200万円の譲渡税が減らせることになります。よって父親の相続では自宅の3分の2は母親が相続し、3分の1はSさんが相続するように提案しました。

 

■自宅の名義人が3人になると制限があるので要注意

今回、自宅は母親とSさんの2人だけですので、2人とも3000万円の特別控除が適用可能です。相続人が複数名いる場合であっても、控除額はそれぞれ3,000万円ずつと定められていました。仮に両親と子ども夫婦4人が共有する二世帯住宅を売却するばあいは、4人とも特別控除を適用することができていました。

けれども令和5年度税制改正により、相続人が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円に引き下げられます。いままで4人では最大1億2000万円控除できたのが、これからは最大8000万円の控除になるということですので、注意が必要です。

 

 

■相続実務士のアドバイス■

●できる対策
遺産分割案は比較して選択する
資金計画を立てて、納税でき、財産を残す方向性を見つける
相続評価以下にしか売れない場合は時価申告する


●注意ポイント

1次相続で自宅を相続しても、売却するときに実際に住んでいないと特例は適用できません。
住んでいるという証拠は住民票だけでなく、郵便物が届き、実際に生活していることの確認と言えます。
また、土地だけではなく、住むための建物も共有する必要があります。

 

 

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