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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

親に会わせてもらえない!財産ひとり占めしたいための暴挙?

■母親に会わせてもらえない!兄とホームが共謀して疎外

相談に来られたRさん(60代女性)は、兄と2人きょうだいの妹です。地方都市に住む父親は建築関係の会社を創業し、3つ上の兄も父親の会社で一緒に仕事をしていました。当然ながら、父親が亡くなった時は、会社は兄が継いています。

Rさんは実家から飛行機で行かなければならない距離のところに嫁いで、生まれ故郷を離れましたので、父親の会社を手伝うこともできず、兄夫婦に任せてきたのです。

 

■父親の相続

父親が亡くなったのは10年前。遺言書はありませんでしたので、母親と兄、Rさんの3人で遺産分割協議をしなければなりませんでしたが、すべて、兄が取り仕切って手続きをしましたので、母親もRさんも言われるまま実印を押し、印鑑証明書を渡したようなことです。

兄は父親の会社を継いでいますので、会社関係の土地や株を相続し、母親の住む実家も相続。母親とRさんには上場株と現金を渡した程度で済ませました。

それだけでも兄の横暴さがわかりますが、Rさんの相談というのは、「兄が母親に会わせてくれないので、方法はあるか」ということでした。

 

■母親の居場所も教えない

母親は現在94歳。父親が亡くなった頃は元気でしたが、80代半ばをすぎる頃から骨折をして入院しなければならなくなりました。入院している時にはRさんも定期的に通って母親の様子を見てきましたが、病院でのリハビリをしたうえでも、いままでの自宅での一人暮らしには戻れないという判断だったようで、介護施設に入所しました。

けれどもどこの施設に行くのかなど兄はRさんには教えてくれずに、勝手に母親を連れて行ったようなことです。

 

■兄から止められているので会わせられない

Rさんは子どもの受験や行事等で1か月ほど病院に行けないことがあり、ようやく時間が作れていつものとおりに母親が入院する病院に行ったところ、もう退院していないと言われ、愕然としたと言います。その施設の人は母親がどこに移ったかは兄から口止めされているので教えられないというのです。それを聞いたRさんは食い下がり、なんとか施設名と場所を聞き出すことができました。

その足で施設に行ったのですが、施設側は、「お兄さんから会わすなと言われているので会わせられません」と一点張り。兄にも連絡しましたが、「とにかく会わせられない」と許可をしてくれず。それから現在まで約4年。コロナの期間も影響はしていますが、いまだに母親に会えずじまいだといいます。母親は94歳。100歳までの時代とはいえ、いつ相続になってもおかしくない年齢です。亡くなる前にもう一度会っておきたいというのがRさんのご希望でした。

 

■弁護士の見解 兄から妨害され、妹が両親に会えない件について

こうした件は、弁護士の範疇ですので、夢相続の業務提携先の弁護士法人に確認してみました。以下が弁護士のアドバイスです。

「妹が母親に会う権利があるかについては、母親の意思や状況にもよりますが、母親が高齢で介護が必要な状態にある場合、子供が必要な介護をするために面会交流を希望することは当然のことです。あきらかに母親の意思に反していたり、母親の平穏な生活を侵害する虐待があったり、母親の権利を不当に侵害するものでない限り、子どもは母親に面会する権利があります。つまり、妹を母親に会わせることが、母親の権利を不当に侵害するものでない限り、兄が母親に会わせない行為は妹の権利を侵害する行為にあたる可能性があります。」

 

■現時点でできる法的手続きについて

「現時点で、できる法的手続としては、話し合いが可能なのであれば、まずは『親族関係調整調停』を申し立てることが考えられます。しかし、調停での話がうまくいかない場合、そもそも調停での話し合いが難しい場合などは、妹が母親に会える権利を前提とした、兄に対して『侵害行為の妨害排除請求』、又は、『妨害予防請求』の裁判を申立てることが考えられます。」

「ただ、裁判には時間がかかりますので、上記『妨害排除請求』又は『妨害予防請求訴訟』を申立てることを前提として、仮地位の仮処分を申立てることが現実的でしょう。

仮処分とは、訴訟での解決をまっていたのでは権利を保護することなどが難しい場合に暫定的に権利を認めるもので、訴訟に比べて手続が早く進み、訴訟で実現するのとほぼ同様の請求を実現できるというものです。実際に母親に会わせてもらえない子どもが申し立てて仮処分が認容されているケースもあります。」

上記が弁護士からのアドバイスですが、いまでも方法があることをRさんにお伝えしました。

 

■泣き寝入りか?プレッシャーをかけるか?

Rさんのように身近なきょうだいが親の面倒を看るという名目で囲い込み、きょうだいに居場所を教えなかったり、会わせなかったり、財産の内容も共有せず、使い込んでしまうことはあり、いくつもの実例を見てきています。

どういうきっかけでそうした暴挙にでるかというと、多くの場合は「財産」を独り占めしたいということではないかと想像されます。

Rさんの場合も会社経営をしていた父親が亡くなった頃から、兄が親の財産を独り占めする前提で動いていたように思うということでした。

 

■まずは内容証明郵便で反応を見る

Rさんはとにかく母親が生きているうちに行動して会いたいということで、あまり、時間はかけたくないところです。そこで、いままでは直に兄に言ってもだめだったのですが、母親に会わせることを許可しないと弁護士に依頼して調停するということを知らせた方がいいとアドバイスをしました。口頭でだめであれば、内容証明郵便を送付して少し、そもそも母親に会わせないということが認められないことを通知していくようにします。ダメ押しで兄に電話をして、その反応により内容証明郵便を送付。それでも了解しない場合は弁護士に依頼という順番です。

Rさんが施設に出向いて母親に会いたいと申し出ても、施設側が「兄に止められていますのでできません」の一点張り。よって施設側にも同様の通知を出すこともアドバイスしています。

お母さんが生きていらっしゃるうちに当然のこととしてRさんが会えるようになればとサポートしていきます。

 

 

 

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