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相続実務士が対応した実例をご紹介!
相続実務士実例Report
財産の開示をせずに、遺産分割協議書の調印を迫る!?兄と弁護士の思惑は?
■父が亡くなって3か月、兄からの一方的な連絡
「父が亡くなってから、ずっと心が落ち着かないんです…」
そう話すのは、50代女性のMさん(50代)。ひとりで相談に来られました。ネットニュースで事例を読んで、相談しようと思ったということです。
Мさんの父親(80代)が3か月前に亡くなったと言います。母親は早く亡くなっているので、兄(60代)とMさんの2人が相続人です。
葬儀を終えた後、兄から送られてきたのは父親の公正証書遺言でした。兄が言うには、「遺産分割は遺言に従って進めるが、手続きは弁護士に任せるので打ち合わせをしたい」と。
Мさんが指定された弁護士事務所に出向いたところ、弁護士から、
「遺産分割協議書を作成したので、今月中に実印を押してください」と。
■長男だから取り分が多い…納得できない遺言
実は、Мさんは父親から生前に「兄に言われて公正証書遺言作った」と聞いていたのです。遺言の内容も、兄が6割、妹のMさんが4割という割合での相続。
兄は上場企業に勤める会社員ですが、役員にもなるほどで、仕事はできるタイプです。それだけに、昔から一方的で高圧的。父とも折り合いが悪く、長年の確執もありました。
「兄は父の面倒を見ていたわけでもないのに、どうして私より取り分が多いの?遺言も、兄の思惑で作られたのでは…。」
Мさんは、納得がいかないところもあると言いますが、兄には理屈で勝ち目がなく、従うしかないと思っていると言います。
■弁護士が主導、妹には情報がない
Мさんは、父親の公正証書遺言で手続きを進めるのは致し方ないと思っているのですが、なぜ兄が遺言執行者の立場で、弁護士を雇い、手続きを進めるのか、腑に落ちないといいます。
弁護士から説明されたのは、
- 預貯金や証券を解約し、弁護士名義の口座で管理
- 自宅とアパートは売却予定
- 弁護士費用や諸経費を差し引いた残額を、兄6割、妹4割で分配
という流れで手続きを進めるということでした。
自分たちで手続きをすればいいのに、なぜ、弁護士が必要なのか?と
兄の思惑がわかりません。
さらに、Mさんには、
- 財産がどれだけあるのか
- 不動産がいくらで売却されるのか
- 弁護士費用や経費がどれくらいかかるのか
といった情報が、まったく開示されません。
「遺産分割協議書」に記載がある財産の裏付けがとれないのです。
■通帳は見せない、手許現金が1,000万円?
さらにMさんを不安にさせるのは、兄が「通帳は弁護士が管理しているから見せられない」と言い張り、
財産の全貌を見せようとしないことです。
遺産分割協議書には、手元現金1000万円と記載されていますが、
いつ下ろしたものかもわからず、しかも、1000万円というまとまった額は違和感があります。
「通帳も見せないし、父が持っていた現金がどこにあるのかも説明がない…。
何か隠しているんじゃないかと疑心暗鬼になってしまいます。」とМさん。
■「署名を急げ」と迫られる不安
亡くなって3か月ほど経った頃、弁護士から連絡が入りました。
「遺産分割協議書に署名をお願いします。早く進めないと申告期限に間に合いません。」
申告期限は相続発生から10か月。
まだ7か月もあるのに、なぜこんなに急ぐのか…。
「中身がわからないまま署名なんてできないのに、兄も弁護士も『早く決めないと困る』としか言わない。
このまま押し切られてしまいそうで怖いんです。」
■実際の遺産は複雑、総額も大きい
Mさんがわかった範囲では、父の遺産は、
- 自宅マンション
- 賃貸アパート
- 数千万円の現金・預貯金
- 株式や投資信託(複数銘柄)
合計すると相続評価は1億円程度ですが、自宅マンションは相続評価の4倍程度になりそうで、時価では2億円程度になるのではと想定されます。
これらを売却して現金化し、最終分配する予定です。
しかし、売却価格が適正か?仲介手数料は妥当か?税理士や司法書士の費用は?
どれも説明がなく、後から大きな損失が出る可能性もあります。
■遺言があっても安心できない理由
「遺言があるから相続はスムーズ」というのは大きな誤解です。
遺言は誰が何割受け取るかを示すだけで、
- 財産をどう売却するか
- 経費をどのように負担するか
- 手続きをどのように進めるか
までは細かく定められていません。
特に今回のように、
- 遺言執行者が兄
- 兄が弁護士に一任している
という構図では、もう一方の相続人が情報から排除され、
「知らないうちに手続きが進んでいた」ということになりやすいのです。
■弁護士費用は遺産から、取り分が減る
さらに、
- 弁護士費用
- 不動産売却費用
- 税理士・司法書士報酬
など、すべて遺産から支払われます。結果、兄も妹も取り分が減ります。
「私は弁護士に頼んでいないのに、その費用まで負担するなんて…。
せめて金額くらい教えてほしい。」
法律上は一般的な仕組みですが、だからこそ費用の透明性が必要です。
■Mさんがとった行動
不安を抱えたまま進めるわけにはいかないと考えたMさんは、
- 財産の明細と売却予定の情報開示を正式に請求
- 弁護士費用や経費の見積もりを確認
- 第三者の専門家(相続実務士)に相談
を始めました。
相続実務士は、財産調査、売却価格の妥当性チェック、協議書の内容確認
を行い、Mさんが不利益を被らないようサポートしますが、弁護士との交渉にあたるわけにはいかないため、交渉の窓口には弁護士を推薦しました。
■透明性と専門家のサポートで、納得の相続に
このケースからわかることは、
- 遺言があっても安心できないことがある
- 遺言執行者が家族だと、もう一方が情報不足になりやすい
- 弁護士費用などが遺産から差し引かれ、取り分が減る
- 情報開示と第三者チェックが不可欠
Mさんも、専門家のサポートを受けたことで、
兄や弁護士に情報開示を求められるようになり、不透明だった手続きを透明化しつつあります。
💡 コラムまとめ
- ✅ 遺言があっても、情報不足で不安が残るケースは多い
- ✅ 協議書への署名を急かされても、内容を確認するのが最優先
- ✅ 弁護士費用などは遺産から支払われるため、チェックが必要
- ✅ 専門家のサポートで、公平で納得できる相続が実現できる
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