事例

相続実務士が対応した実例をご紹介!

夢相続 解決レポート

賃貸事業の20年先を見据え、築古物件の整理と円滑な資産承継を実現する相続設計

【相談者の事情】

相談者:Sさま(50代、ご夫妻でご相談)

家族関係:

ご夫妻には、長男(30歳・不動産関心高め、将来の管理承継候補)、次男(28歳・宅建資格あり、不動産会社勤務経験あり)、長女(25歳・管理負担の少ない財産を希望)の3人のお子様がいらっしゃいます。

ご夫妻はこれまで収益不動産を少しずつ取得し、合計14物件(ご主人様7物件、奥様7物件)を保有。現在は安定した家賃収入を得ており、ご自身の生活基盤はしっかりと確立されています。しかし、今後15〜20年、さらにその先の子ども世代まで見据えたとき、築年数の経過した木造物件等の修繕や建て替え負担が集中する可能性があり、今のうちに物件ごとの方向性を整理し、次世代へ負担を残さない相続設計を行いたいとご相談にお越しになりました。

 

【資産構成】

収益物件:合計 14物件

年間賃料収入:約3,257万円

年間経費:約811万円

年間NOI(純収益):約2,446万円

参考価格合計:約3億3,625万円

相続税評価額合計:約1億3,613万円(参考価格に対する評価額は約40.5%)

 

【課題の整理】

今回の事例における大きな課題は、以下の4点に集約されます。

 

1.築古物件における修繕・建て替え負担の集中リスク

多くの物件が築20年〜30年を超えており、今後15〜20年の間に大規模修繕や建て替えの時期が重なると、次世代へ莫大な資金負担と管理の苦労をそのまま引き継ぐことになってしまいます。

 

2.収益性・資産価値・管理負担の物件ごとの大きな格差

高収益で積極的に残すべき物件がある一方で、低収益の物件や、共有名義・修繕リスクを抱える物件が混在しており、一律の対応では立ち行かなくなっています。

 

3.3人のお子様への公平で現実的な分割・承継の難しさ

不動産をそのまま共有名義のまま残すと、将来の管理や売却時に大きなトラブルの元となります。お子様それぞれの適性や関心(長男・次男の経営参加、長女の管理負担軽減)に合わせた分割が必要です。

 

4.一次・二次相続を通じた総合的な税負担とキャッシュフローのバランス

配偶者軽減に過度に頼らず、ご夫妻一体となって一次・二次相続の税額や、将来の生活資金・納税資金・代償金のバランスをあらかじめ設計しておく必要があります。

 

【提案(ソリューション)】

これらの複雑な課題を解決するため、夢相続では以下の総合的なソリューションを提案しました。

 

1.物件の「維持・改善・売却(組替え)」への明確な仕分け

すべての物件を一律に扱うのではなく、「積極保有」「修繕・改善」「建て替え」「売却・資産組み替え」に細かく仕分けました。特に木造築古物件については、承継前にご夫妻の世代で整理・更新する方針を立てました。

 

2.「数を増やす」から「数を絞り、良い物件を残す」への転換

築年数が古く将来の修繕・空室リスクが増える物件は、負担が大きくなる前に売却を検討。その売却資金を、新しい収益物件の取得や建て替え資金に充てる「資産組み替え」を進め、子どもたちが管理しやすい資産構成へと整えます。

 

3.長男・次男への「経営の段階的引継ぎ(プレ事業承継)」

相続が起きた日に突然「大家さん」になるのを防ぐため、

・1年目:物件一覧や収支、修繕履歴などの「見える化」

・2年目:担当物件の設定と管理会社とのやり取りの実地経験

・3年目:修繕実施や入居募集、売却判断などの「経営判断の経験」

というように、生前のうちから段階的に経営や管理を引き継ぎます。

 

4.長女への配慮と単独所有による分割設計

不動産はできるだけ単独所有を基本とし、長女へは管理負担の少ない預貯金や有価証券、生命保険等を配分。3人のお子様が納得できる公平な分割案を構築します。

 

5.公正証書遺言による確実な実行体制の整備

不動産の帰属先、生命保険の活用、小規模宅地等の特例の適用などを網羅した一次・二次相続の試算を行い、最終的には公正証書遺言を作成してご夫妻の想いを確実に形にします。

 

【解決(成果)】

現在は、各物件の売却査定や建物診断、水耕フラッツの建て替えシミュレーション、生命保険を含めた財産額の再計算を進めています。

これにより、以下の道筋が明確になりました。

 

  • 築古物件の負担を次世代に持ち越さず、今の世代でスリム化・最適化された資産構成の実現

 

  • 収益性の高い優良物件と資金(現金・保険)のバランスの取れた承継

 

  • お子様それぞれの適性に応じた管理・経営の段階的引継ぎによる、争族(争続トラブル)の防止

 

  • 公正証書遺言を通じた、ご夫妻の安心とご家族の絆を深める円満相続の達成

 

【相続実務士の視点】曽根メソッド

今回の事例のように、多数の収益物件をお持ちのご家庭における相続対策は、単なる節税や不動産の延命措置の枠を超えた、「不動産経営の次世代への円満な承継」が極めて重要となります。

 

曽根メソッドの根幹は、「ご夫妻のこれまでの努力で築いた安定した収益を守りつつ、将来の修繕・建て替え負担や管理の重荷を子ども世代に先送りせず、自分たちの世代で『維持・改善・売却(組替え)』を戦略的に決断すること」にあります。

 

「物件を増やす時代」から「数を絞り、良い物件を残す時代」へ。今のうちに収支や修繕履歴を可視化し、子どもたちが無理なく管理できる形へ整理しておくことこそが、家族の絆と資産を同時に守り抜く相続設計の要諦です。

 

 

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◆
執筆
相続実務士® (株)夢相続 代表取締役  曽根恵子
【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。

  • 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部
  • テレビ・ラジオ出演:300回超
  • 新聞・雑誌取材:1,000回超
  • セミナー:600回超


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