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相続実務士が対応した実例をご紹介!

相続実務士実例Report

Sさんの“誰にも言えない相続の悩み” ─家庭内別居、財産、恨み。相続の裏側に隠れた本音─

■第1章 「このままで大丈夫だろうか」──Sさんが抱えていた静かな不安

Sさん(60代・男性)は、都内の自宅マンションに暮らしながら、これまで堅実に資産を築いてこられた方です。
大きなトラブルもなく、2人の子どもにも恵まれ、外から見れば落ち着いた生活そのものでした。

しかし、年月が重なるにつれ、夫婦関係は徐々に冷え込み、今では“家庭内別居”のような状態。
同じ家にいても会話がほとんどなく、生活はそれぞれが完結している。
そんな日々が続いていました。

そのため、Sさんの胸の内には、誰にも言えない苦い本音がありました。

 

「正直、妻には財産を渡したくない」

しかし、その想いを遺言書に書いてしまえば――
死んだ後まで恨まれるのではないか。
自分のいない世界で、子どもたちに八つ当たりをするのではないか。

 

そんな恐れが頭から離れなかったのです。

 

「財産を渡したくない。でも、恨まれたくない」
矛盾したその気持ちは、誰にでも相談できるものではありませんでした。

さらにSさんには、故郷に駐車場を持っているという事情がありました。
毎月、少額ながら安定した駐車料金が入ってきます。

 

Sさんはふと思いました。

「この駐車場を妻名義にすれば、
“ありがとう”と感謝してもらえるのだろうか……?」

 

しかし、それが相続上どんな意味を持つのか、
税金はどうなるのか、
本当に得策なのか――
自分一人では判断できません。

 

そんな折、友人から
「夢相続さんは不動産の相続に強いらしいよ」
と聞いたSさんは、意を決してセミナーに参加し、相談の予約をされました。

 

第2章 初回面談──「自宅マンションの評価すら知らなかった」という事実

面談当日。
Sさんは“何から話し始めればいいのか”という表情で席に座られました。

まずお伺いしたのは、相続対策の大前提となる資産の全体像です。

 

  • 自宅マンション
  • 故郷の駐車場
  • 預貯金
  • 年金や生活費
  • 子どもたちに残したいもの
  • 配偶者の生活の見通し
  • そして——夫婦関係

 

Sさんは、小さな声でこう言いました。

「実は……家庭内別居なんです。
だから正直、妻には財産を渡したくない。でも……恨まれたくもないんです」

その言葉を発した瞬間、
“ようやく誰かに本音を言えた”という安心感が表情ににじみました。

 

知らなかった「自宅マンションの相続評価」

話は次第に具体的な資産の方向へ。

相続におけるマンション評価は、

 

  • 登記簿に記載されている敷地権割合
  • 固定資産税評価額

 

この2つが重要です。

しかしSさんは、

 

  • 書類の場所が分からない
  • 敷地権割合の意味を知らない
  • 固定資産税評価額が相続に使われることも初耳

 

という状態でした。

この状態で「妻に渡したくない」と考えるのは、
例えるなら 地図なしで山に登るようなもの です。

 

第3章 路線価から導いた“概算評価”──初めて知る資産の「現実」

面談では、まず現地周辺の路線価を調査しました。
Sさんの自宅マンションの路線価は
1㎡あたり55万円(550,000円)

 

ここから土地の評価額を算出し、
敷地権割合をかけ、
さらに建物の評価を加えて“概算”を出していきます。

 

計算式を見ていたSさんは、驚いたように言いました。

「こんなに複雑なんですね……
マンションなら誰が見ても同じ価値だと思っていました」

 

駐車場についても同様に試算

Sさんが妻への“感謝のプレゼント”にできないかと考えていた故郷の駐車場も、
相続上は重要なポイントになります。

 

  • 収益性
  • 路線価
  • 評価額
  • 名義変更のタイミング
  • 贈与税の問題

 

単純に「名義を妻にすればいい」という話ではありません。

Sさんもそれを知り、表情が一段と真剣になりました。

 

第4章 浮かび上がった3つの課題──そしてSさんの“本当の望み”

概算評価が見えてきたところで、
相続における本質的な問題が明らかになりました。

 

  • 課題1:妻の生活をどう守るか

 

家庭内別居とはいえ、長年連れ添った妻です。
Sさんは口には出しませんでしたが、
「全く何も渡さない」というつもりはないことが、言葉の端々から感じられました。

ただし“渡し過ぎたくない”のです。

この繊細な気持ちは、遺言書に真正面から書くべきではありません。
“妻には財産を渡さない”…
そう書けば、残された家族の火種を作るだけです。

だからこそ、どう表現するか が極めて重要になります。

 

  • 課題2:子ども2人への暮らしの不安を残したくない

 

財産の分け方は、
残す側の“気持ち”と
受け取る側の“公平感”がぶつかり合うテーマです。

このまま何もしなければ、
妻と子どもが共有となり、
誰も望まないトラブルを生む可能性があります。

 

  • 課題3:相続税・贈与税の不安

 

駐車場を妻に渡したら税金はどうなるのか?
自宅マンションの評価が高かったら、相続税が発生するのか?
納税資金はどうするのか?

次々と疑問が湧いてきました。

 

第5章 夢相続が示した“3つのアドバイス”

Sさんの複雑な気持ちを整理しながら、次の方向性を示しました。

 

■① 正確な相続財産の評価をすること

まずは、

  • 登記簿謄本(敷地権割合)
  • 固定資産税評価通知書

を確認し、正確な評価を出すこと。
ここを曖昧なまま進めると、後の判断がすべて狂います。

 

■② 感情と税務の両方に配慮した「分割案」を作成すること

 

Sさんの本心は、

  • 妻には渡したくない
  • しかし恨まれるのも困る
  • 子どもに負担もかけたくない

という3つの矛盾を抱えています。

 

そこで次のような案を提示しました。

  • A案:妻には生活に必要な最低限の財産+駐車場の収入を

駐車場を妻に渡すことで、「感謝」を生む可能性があります。
贈与ではなく、相続で渡す方法も含めて検討します。

 

  • B案:妻に自宅を渡す代わりに、他財産で子どもに調整

感情ではなく「生活」の観点で妻の将来を守り、
不公平をなくす方法です。

 

  • C案:共有を避けるための遺言整備

妻・子の間でトラブルが起きないよう、
遺言で役割を明確にします。

 

■③ 遺言書・家族信託という“争いを生まない仕組み”を整える

特にSさんは

  • 認知症になった場合
  • 死後、妻と子がどう動くか
  • その中で“恨まれない形”が作れるのか

この点を強く不安に感じていました。

 

そこで、

  • 公正証書遺言
  • 家族信託
  • 財産管理委任契約

など、将来のトラブルを未然に防ぐ手段を提案しました。

 

第6章 Sさんの“決意”──本音と折り合いをつけるということ

面談の最後、Sさんは深く息を吐き、静かにこう言われました。

「渡したくない気持ちは本音です。
でも、遺言にそのまま書いたら……残された家族が壊れますよね。
そこは、ぐっと抑えないといけないんですね」

私たちはこうお伝えしました。

「本音は本音として持っていて良いのです。
ただ、遺す形は“恨まれない工夫”が必要です。」

その言葉にSさんは頷き、
帰宅後さっそく登記簿や書類を探し始めたとのことです。

 

第7章 まとめ──相続とは“気持ちの整理”でもある

Sさんのケースは、決して特別ではありません。

 

  • 本当は渡したくない
  • 恨まれたくない
  • でも、家族が揉めるのはもっと嫌

 

多くの方が、
“本音”と“建前”の間で揺れながら相続を考えています。

相続とは、財産の話でありながら、
実は 気持ちの整理 なのです。

 

今回のSさんが、
一歩踏み出して相談したことで、家族の未来は確実に変わりました。

そして、あなたのご家庭にも、
同じように隠れた本音と不安があるかもしれません。

 

もし一つでも当てはまるものがあれば、
夢相続にぜひご相談ください。

家族が恨みを残さず、感謝で終われる相続は、
準備を始めたその瞬間から作られていきます。

 

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■執筆者

相続実務士 (株)夢相続 代表取締役  曽根恵子

【相続実務士】の創始者として1万15000件の相続相談に対処。
夢相続を運営し、感情面・経済面に配慮した”オーダーメード相続”を提案。
”相続プラン”によって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。

  • 相続関連著書・監修:92冊、累計88万部テレビ・ラジオ出演:300回超
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