夢相続コラム

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【相続実例コラム】申告・鑑定評価・売却:節税して農家を守った横山さん

2020/06/29


【相続実例コラム】申告・鑑定評価・売却:節税して農家を守った横山さん

●相続関係者

被相続人 祖父(配偶者あり)
相続人8人(配偶者、長男、長女、次女、三女、四女、養子・長男の妻、孫、長男の子・相談者)

●相続事情

横山家は36代、400年続いた由緒ある家系で、大地主の梨農家です。農地解放でかなりの土地をなくしましたが、それでも祖父の財産の大部分は土地ですが、大部分は自宅まわりの調整区域の農地です。また、梨農家だけに畑がないと生計が立てられないため、代々の農家を守るのが本家の務めであり、自分の代で没落するわけにはいかないというのが孫である横山さんの信条でした。
祖父が高齢で隠居をしたときに、横山さんは父親を手伝うようになり、母親と3人で梨作りに従事してきました。父親は数年前に脳梗塞で倒れ、症状が軽かったので大きな後遺症も残らなかったのは幸いですが、無理も利かなくなり、主に母親と横山さんが農業を切り盛りしている状況です。祖父は娘たちの普段の言動から、相続になれば財産を分けてもらいたいと言い出すことを予想して孫の横山さんと母親を養子にし、公正証書遺言も作成しておいてくれました。大部分の財産を長男と孫に相続させ、娘4人は現金、配偶者の祖母には二次相続の不安を無くすため、相続させるものはないという内容でした。

●相談者にこられたきっかけ

自宅の宅地は1筆ですが、登記簿で800坪ほどあり、固定資産税評価では、全部が宅地とされており、2億円ということです。毎年の固定資産税も相当分支払っています。しかし、建物が建っているのは3分の1程度で、残りは作業小屋や駐車場や通路等で、農業用であり、面積が広いというだけで、どうみても2億円の価値があるとは言えません。
なにより、調整区域の専業農家の自宅ですから、宅地と言っても宅地分譲できる場所ではないのにあまりに評価が高く、それだけで相続税がかなりかかるのではないかと不安に思っておられました。
農家を継いでいる横山さんは、生前、事ある毎に祖父から土地や家やお墓を守ってくれと頼まれていたということです。祖父が亡くなってからは、相続税をなんとか安くして、乗り切ることができないか、いろいろと調べるうちに、私の本を買って読んだとのことで、母親と相談に来られたのでした。

●運命の分岐点・ここがポイント

☆土地の評価を徹底的に下げた
近隣は大規模な開発で山が切り開かれて、大きなニュータウンがいくつも広がっている地域ですが、横山家の自宅は調整区域にあるため、ほとんど昔のままで、自宅の裏は広大な山林が広がっています。道路も狭く、車一台が通るのがやっとという幅しかありません。ところが普通の計算では、自宅周辺だけで3億円以上の評価になってしまいます。簡単に開発できない調整区域の自宅の宅地部分が約2億円なのです。検討した結果、測量をして鑑定評価をするしかないという結論になりました。
また、無道路地の土地があり、建築許可は取れそうにありません。その土地の評価も鑑定により、5分の1としました。3ヶ所の土地の鑑定評価により、相続税は約半分に減額ができています。

☆貸し地の売却
相続財産の中には納税に足りる現金はないことと、貸し地は所有しているメリットが少ないため、納税用にすることを提案しました。とりあえずは物納申請をしましたが、申告前より売却することを提案。一括して相続税評価で不動産会社に買い取ってもらうことができ、現金納付ができたことで、大変喜んで下さいました。

☆延納の返済原資を作る
納税は土地の売却で6割方済ませる目途がつきましたが、残りは延納としましたので、翌年より返済が始まります。そこで、空き地2ヶ所につき、有効利用の提案をしました。1ヶ所は調整区域で建物が建たないところですが、大型トラックの駐車場として借り手があり、もう1ヶ所は3階建ての賃貸マンションを建てることにしました。この有効利用の実行により、横山さんの父親の節税対策ができ、同時に延納の返済原資となる収入を確保することができます。

●相続実務士の視点

横山さんは毎回親子で、新幹線で相談に来られました。横山さんは孫の立場ながら、亡くなった祖父の養子になっておられました。その祖父から事ある毎に、「家を継承してもらいたいので、頼む」と言われていたとのこと。「祖父の気持ちを十分理解しているので、自分の代で家を没落させるわけにはいかない」と、はっきりと意思を持って行動しておられる姿に、何代も続く家を継承していくことの責任の重さを感じました。
大地主で本家といわれる立場の家に生を受けることは、一見楽なように思えますが、現実問題として維持していくことは簡単ではないと言えます。そのための公正証書遺言であり、それは配偶者がありながら、二次相続での分散を避けるため、一切の財産は長男と孫に、とされていました。途中は他の相続人とのぎくしゃくする場面もありましたが、一様に農家が楽ではないこと、家を継続することが大変であることを理解して頂き、遺言書に記載のある代償金を支払うことで納得して頂けました。さらに、土地の評価で節税でき、タイミングよく貸し地の買い手も見つかり、こちらのストーリーどおりに進めることができたことで、大変安堵して頂き、喜んで頂けたのでした。

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