夢相続コラム

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【相続相談事例】独身の義姉の面倒は看ない義妹Vs弟夫婦に頼りたい義姉。二世帯住宅の悲劇!

2022/02/02


【相続相談事例】独身の義姉の面倒は看ない義妹Vs弟夫婦に頼りたい義姉。二世帯住宅の悲劇!

ずっと同居をしてきた

Hさん(70代男性)が夫婦で相談に来られました。Hさん夫婦は結婚当初から、両親と独身の姉で同居してきました。姉は結婚せずに、ずっと両親のもとで暮らしてきたのです。Hさん夫婦にこどもが生まれてからもそのまま同居は継続してきました。
20年前、父親が亡くなったとき、自宅の土地は長男として、Hさんが相続しています。建物は老朽化が激しくなり、15年前に建て直しをしました。そのときに母親と姉が住む家とHさん家族の家とは玄関を別にした完全な二世帯住宅としたのです。

お金を出し合って共有名義に

家を建て直すとき、それぞれの家族の費用で建てることになりました。姉と母親の家は全体の3分の1で、Hさん夫婦と二人の子供の4人が住む家は全体の3分の2となります。お金もその割合で出すようにし、3分の1は姉、3分の2はHさんの共有名義の家となったのです。
高齢の母親名義にするよりも、長く住むはずの姉名義にするほうが良いとアドバイスを受けてそうしたのでした。建物は1棟ですが、玄関が別々の完全な二世帯住宅ですので、お互いに干渉しすぎることなく、ほどよい距離感のある良好な関係が保たれていました。

70代になって考える老後の住まいは?

家を新築してから15年経ち、10年前には母親が亡くなり、Hさん夫婦は70代になり、姉は80歳になりました。これからの老後のことを考える年代で、妻といろいろと相談することが増えました。Hさん夫婦には2人の子供がいますが、2人とも結婚して家からはなれて独立しました。よって今の家は2人暮らしには広くなり、掃除も大変になりました。
そうした状況なので、ずっといまの家に住み続けるよりも、子供たちの世話にならなくていいよう、老人ホームに入ろうと、Hさんと妻の間では意見はまとまったのです。

妻が怒り心頭!独身の義姉の面倒は看ない!

夫婦二人で老人ホームへ入るには、まとまった現金が必要になるため、家を売却して入居資金に充てたいと考えました。土地はHさん名義でも、建物は姉との共有名義になっていますし、実際に現在も姉が住んでいるため、勝手には売れません。
そこで、夫婦で姉に家を売却したいという話をしたのですが、姉は「ずっと最後までこの家に住み続ける」と言うのです。しかも、姉はHさん夫婦に、「自分の老後の面倒はHさんや義妹であるHさんの妻や甥姪に見てもらいたい」とはっきり言われたのです。
それを聞いたHさんの妻は怒り心頭になりました。「自分たちは子供に負担をかけないようにと考えているのに。とても、義姉の面倒など見られない。」「入院などすれば身内が保証人なり、都度都度呼び出されるが、そんな役割は引き受けられない」と。

買い取るので出てもらいたい

老人ホームへ移ろうかというHさん夫婦と、住み続けたい姉とが建物を共有して、隣り合わせで住み続けることはうまくいくはずがありません。一緒に売ることが難しいと思ったHさんは、次に、姉が出した建築資金を払って建物の姉の権利を買い取る話をしたのです。家から出て、別のところに引っ越しをしてもらえないかと話をしたのですが、姉はずっと住み続けるの一点張り。受け入れてもらえそうにありません。当然、一緒に売却するという話に合意が得られるはずもありません。
Hさん夫婦はほとほと困り果てて相談にこられたとのでした。

年齢が近いのに頼られても困る

姉は生まれてからずっと両親と住んできた実家だから、違うところに住む気持ちはなく、このままずっと住み続けたいということでしょう。しかも、独身ですから頼れる配偶者、子供はないため、親族である弟夫婦に面倒を見てもらいたいという気持ちが強いとなれば、建物を高く買い取るからと言っても、納得されないだろうと想像できます。
しかし、Hさんの妻も、「年齢がたいして違わない義姉に面倒を看てもらいたいと頼られても困る」、しかも、自分たち夫婦が面倒を看きれない場合は、2人の子供たちに頼られることはさらに困ることです。ここでHさん夫婦がはっきり言っておかないと頼りにされると思い、「義姉の面倒なんか看ない!」と決めたといいます。
これではうまくいくはずがありません。70代はまだ、これから20年前後の寿命があるはずで、生活が続くと思われるのに、ストレスをかかえたままではよしと言えません。

お金の問題ではない人を説得できるか?解決策はあるか?

義姉のように、自宅に住み続けたいという人を説得できるかというと、かなり難しいと言わざるを得ません。長年住んだ土地や家に愛着がある方は簡単には切り替えかできないことのほうが多いでしょう。お金を多く払うのでどうかという話が響かないとなれば、話は進みません。
よって姉を動かすよりは、Hさん夫婦が動くことで方法を作っていくほうが現実的です。その方法は二つあります。
一つ目は「土地と自分の建物を貸して、住替える」方法です。姉が住んだまま、Hさん夫婦は引っ越して、自分の家を賃貸して家賃を得ます。老人ホームの支払いは家賃を充てることで賄えます。
二つ目は、Hさんの所有する土地、建物を売却、姉の自宅はそのまま残す方法です。購入した人は自分が住むか、賃貸し、姉からは地代をもらうようにします。

日々のストレスを避けて不安なく生活したい

二世帯住宅で完全な独立世帯だと言っても、隣に住んでいると顔を合わせることもあるでしょうし、修繕やメンテナンスのことなど相談、協力することも必要になりますので、ギクシャクしたままではストレスになるというものです。
足並みが揃わないからと、住み替えを先延ばしすると、姉への不満は増えるばかり、いい結果にはならないと想像されます。それよりも、自分たちが住みかえて、自宅は賃貸して姉と距離を置くことで、感情的なトラブルは軽減するようにとアドバイスしました。

相続実務士より

姉弟だといっても、家族の形も違い、考えも違います。母親と同居する自宅がスタートで、二世帯という発想になったのかと言えますが、いまでは建物を共有したばかりに感情的な対立になりかねません。本来は、別世帯。長い人生、個々に判断、決断ができるように、土地を分筆して、建物も別々にするべきでした。
二世帯住宅はメリットも大きいものの、デメリットもあり、慎重に考えないといけないということで、今後の教訓になればと思います。

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