夢相続コラム

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【価値ある相続を実現する】争いになっても解決できた実例2

2021/08/19


【価値ある相続を実現する】争いになっても解決できた実例2

遺留分の減殺請求を受けて遺産分割をし直した佐久間さん

□佐久間家のプロフィール・・・公正証書遺言は遺留分を満たしていなかった

被相続人 父(農業、不動産賃貸業・貸家、アパート所有)
相続人  配偶者なし(既に死亡)
     長男(無職・父親所有の貸家に住んでいる)
     長女(結婚して他家へ嫁いでいる)
     次男(サラリーマン)
     次女(結婚して他家へ嫁いでいる)
     三男(両親と同居、父親の看病をしてきた)

長男も次男も家を出ている

佐久間家は農家で、自宅周辺に何カ所か宅地や畑を所有しています。父親は、昭和40年頃からは貸家を建てて収入を得てきました。そのうち2カ所は、古くなった貸家を解体して、アパートに建て替えています。所有地のほとんどには賃貸物件を建てており、生前対策はできていたと言えます。
長男は、父親と衝突することが多く、長男の方から家を出て、貸家の1軒に住むようになりました。また次男も仕事の都合などがあり、家を継ぐことができませんでした。
そこで三男である佐久間さんが夫婦で親と同居したといういきさつです。晩年の父親は入退院未を繰り返していたため、大変だったようですが、佐久間さん夫婦が献身的に面倒を見てきました。

公正証書遺言があった

父親は、相続は大変だというまわりの人の薦めで、昭和58年に公正証書遺言を作成していました。遺言の内容は、長男には100坪、次男には、180坪の土地を与えるとし、長女、二女にはわずかな現金だけ、配偶者には残りの現金すべて、残りの財産は三男に全部というもので、遺言執行者も三男になっていました。三男は兄姉からあれこれ言われないうちにと、遺言書を執行し、相続手続きを済ませたのでした。
不動産登記は済ませたものの遺言書には問題がありました。まずは、母親の相続分も記載がありますが、すでに亡くなっています。また長年の入院や通院等で費用がかかったためか、残っているはずの現金がほとんどありません。さらに、長女、二女に分けるとする現金は、遺留分を満たしていなかったことです。

遺留分の減殺請求をされた

遺産分割の話し合いをしたいと兄姉が実家に集まりましたが、佐久間さんは公正証書遺言があることを告げ、内容を見せました。しかし、その席で父親が生前話していた現金が残っていないことを知ると、兄姉は佐久間さんが勝手に使ったのではないかと詰問してきました。姉二人に相続させるとした現金程度は工面できるので、佐久間さんは遺言どおりの内容で済ませたいと提案しましたが、合意は得られません。とうとう感情的に対立してしまいました。
遺言書があれば簡単に相続の手続きができると考えていた佐久間さんは、とりつく島もなしといった姉二人の態度に本当に困ってしまいました。なんとか話し合いの場を持とうとしてもなかなか応じてもらえないのです。そうするうちに家庭裁判所から遺留分の減殺請求が送られてきました。姉二人が業を煮やして申し立てしたのです。それに煽られて長男の弁護士からも同じ遺留分請求の内容証明が送られてきました。驚いた佐久間さんは、自分では手に負えないとこちらに遺産分割の調整を依頼されたのです。

◆なぜもめたか、検証する!

・公正証書遺言が15年前に作られたきりで、書き直していなかった
・公正証書遺言の内容は長男と長女、次女の相続分が遺留分を満たしていなかった
・遺産分割の話し合いを仕切っていたのは、相続人でない長女の夫であった
・佐久間さんが遺言の内容に固執した

◆解決はこうした

・遺留分減殺請求に応える覚悟をしてもらう
遺留分は遺言書があった場合の相続人の最低相続分を確保するための権利です。請求された以上はそれに応える準備をしなくてはなりません。遺留分は、法定相続分の2分の1であり、佐久間家の場合は、財産の10分の1となります。遺言の内容で、遺留分を満たしているのは、次男と、三男の二人だけで、残る長男、長女、次女の分は、満たしていませんでした。
佐久間さん夫婦は、自分達が両親の面倒を見て苦労してきたという気持ちがあるので、それ以上の財産を分けたくないというのが本音でした。しかし、遺留分の請求があれば対処しないわけにはいきません。佐久間さん夫婦にそれを理解してもらい、財産を分ける覚悟をしてもらいました。

・申告期限には未分割の法定割合で申告した
農家の相続では、家督相続の名残が強く、跡取りが家を守っていくために財産のほとんどを受け継ぐのが当然とされてきました。佐久間さんも財産をなるべく手元に残して置きたいという気持ちだったのですが、それに固執するといつまでたっても遺産分割ができそうにありません。
しかも一旦こじれた感情はなかなか修復が難しく、時間をかけることも必要だと判断、申告は未分割の法定割合で一旦申告する方針としました。申告期限に分割が決まっていないときは、とりあえず法定割合で申告しておかなければなりません。分割協議が整っていないからと申告をしないと、無申告となり、あとで無申告加算税等のペナルティを課せられるのです。正式な分割が決まれば、修正申告をすればいいのです。

・分割する財産をどう捻出するか
互いに譲歩できる部分を引き出し、全員が納得できるような具体的な遺産分割の案を提示することが解決への近道です。しかし、課題はすぐに分けられる財産がないことです。
遺産の中に遺留分を満たすだけの現金はありません。納税資金として土地を売却しることにしましたが、それは相続税と長男への遺留分の支払いに充てるようになります。
そこで、二人の姉には、遺言に記載された現金の他に、貸家の土地の一部を分筆して分けることを提案しました。貸家が6棟建っている土地で、それを姉の区画2つと残りは佐久間さんと3つに分筆します。測量図を作成するともに、評価額を提示して、遺留分を満たすことを説明して、ようやく理解が得られました。

・分筆により相続税は下がった
税務署には修正申告を出し、ようやく各自の相続税も確定しました。分割協議で、二人の姉にも土地を分けることになったため、分筆により地形が変わって評価が下がることにもなります。それにともない、相続税は期限内に未分割で提出したものよりは安くなりましたので、最後に喜ばしいことで締めくくりができたのでした。

◆価値はココ!

○相続に慣れた第三者が調整に入る
相互に説得できる専門家が必要

○遺留分の減殺請求に対処する
姉には家庭裁判所の調停を取り下げてもらい、当事者間で話をつけた、長男は代理人の弁護士と話をした

○全員納得できる遺産分割協議案を提示する
互いに譲歩できる部分を引き出し、全員が納得できるような具体的な遺産分割の案を提示した

○相続税が下がった
土地を分筆したことから、評価が変わり、相続税も下がった

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