夢相続コラム

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【それぞれの相続物語】(17)一次相続から土地有効利用を見越した分割をした吉沢さん

2022/10/26


【それぞれの相続物語】(17)一次相続から土地有効利用を見越した分割をした吉沢さん

 

◆相続関係者

●依頼者 吉沢さん(男性 50才代・会社員)

●被相続人 夫(不動産賃貸業)

●相続人  3人(妻、長女、養子・長女の夫・相談者)

 

◆相続事情

吉沢家は代々の地主です。妻は一人娘だったため、吉沢さんが婿養子として迎えられました。同居して、既に20年以上が過ぎたとのことです。

 

土地が広いだけに相続が大変だと、土地の一部は先代の相続のときに義母や妻の名義にした経緯があり、ある程度は分散してきていました。しかし、義父はそれ以上の節税対策を好まず、これといった対策はされていませんでした。

 

義父が亡くなったとき、相続税がかかるとしても、できるだけ節税したいという思いで相談に来られました。申告まで4ヶ月あまりという時期でした。

 

◆課題

吉沢さんは、付箋を付けて読み込んだ本をもって相談に来られました。仕事柄不動産には詳しく、また几帳面な方でもあり、財産の整理はすでにきちんとされていましたので、評価の概算はすぐに出すことができました。

 

心配は納税のことで、予定している土地は物納できるのか、また売れるのか、売れなかったり、足りなかったりするのではないかと判断がつかないとのこと。納税額に足りない場合は、自宅のまわりの土地まで売ることも覚悟をしていると話してくださいました。

 

義父が30年ほど前に購入した山林があり、今は宅地化が進んで区画整理され、閑静な宅地になっています。現地は雑木林のようになっており、毎年の草刈りだけでも手間がかかり、もう利用する予定はないとのこと。吉沢さんはこの土地を納税用と決めておられました。

 

◆解決へのアドバイス 売却の内容をオープンにして分割協議をする

☆配偶者の特例で節税をする

相続人は同じ世帯ですから、どう分けてもいいという了解をもらっていました。配偶者の特例を受けるため、財産の半分は義母に、残り半分を夫婦で相続することを目安としましたが、土地の評価は半分ぴったりにはいきません。

 

そこで、50%ぎりぎりの相続割合にするため、私道の部分を親子で共有として調整をして最大限の節税効果を得られるようにしました。

 

☆目的に合わせて土地を相続する

二次相続でも相続税の不安があるため、次は節税対策が必要だと思われました。そこで、義母には次の節税対策となる有効利用ができる土地を相続してもらうことを第一に検討して提案していきました。納税のためには、土地を物納、売却したいという希望でしたので、その候補地は、納税が必要な妻と吉沢さんの共有とすることを分割の核とし、調整をしていきました。

 

☆土地の評価を下げる

自宅周辺の土地は全部を測量し、それぞれの利用毎に利用区分図を作成しました。ひとつの敷地の中に、自宅、アパート、駐車場、貸し地、貸家といろいろな用途で利用していることから利用ごとの地形や面積を出します。そうすることで不整形地ができ、減額できることになります。この評価方法で当初試算した納税額より30%程度の減額ができました。

 

☆不要な土地は売却、換金した

納税額からすると半分程度を売却すれば足りますが、半分残しておいても維持管理が大変だと判断し、全部を売却することにしました。

納税額の概算が出た頃から売却活動に入ったところ、地元の建て売り業者から購入申し込みが入り、契約がまとまりました。代金の授受も納税に間に合うように、申告の前日にし、無事に納税は完了し、まとまった現金も手許に残せたのです。

☆義母の節税対策が必要です。

義母が相続した土地を有効利用することを提案、賃貸マンションを建設しました。何もしないとまた今回以上の相続税が予想され、次は配偶者控除の特例が利用できない分、納税が大きくなります。そのリスクを避けるため、節税対策をするとともに、家賃収入を得ることで生活費や納税資金にも充てることを考えました。

 

☆法人を設立し、税金対策をした

義母は今までも駐車場収入があり、今後、賃貸マンションの収入が増えると所得税も増え、現金が貯まっていくと相続財産となり、課税の対象となります。そうした税金を減額するために、賃貸管理の法人を設立し、給与で収入を分散し、節税することにしました。

 

◆まとめ

さまざまな検討をした結果、節税もでき、納税した後は現金が残ったことで、申告は成功したと喜んでくださいました。節税対策も遺産分割の時から説明をしてあることであり、申告後すぐに計画に着手し、順調に進めることができたのです。

申告期限まではあまり余裕はありませんでしたが、何事も予定どおりにうまく進みました。たとえば土地の売却の代金授受は、申告期限の前日でしたが、これが買い主さんにも納税の事情を理解してもらい、短期間に資金の準備をしてもらうことができた結果です。

お会いする度、「お世話になってありがとうございます。」という言葉をかけて頂くように、これも吉沢家のお人柄や普段の心使いが成功をもたらすかのように思えました。不安に思うことは何でも聞いて頂き、コミュニケーションが取れたことも成功のカギだと感じています。

 

◆相続実務士からのアドバイス

土地はそれぞれの利用単位で評価をすると不整形地ができ、減額できます。

納税を減らすには配偶者の特例を利用することが効果的で、50%の相続割合にするため、土地の共有割合で調整することもあります。

利用しない土地や管理が大変な土地は相続のタイミングで売却することも有益です

 

弊社では様々なプランをご用意しております。
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