夢相続コラム

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【運命を変えた相続の極意】分割内容を変えて節税できた小川さん

2021/11/01


【運命を変えた相続の極意】分割内容を変えて節税できた小川さん

相続関係者

被相続人 父(配偶者、子なし)
相続人3人(配偶者・後妻、先妻の子、長女、長男)

相続事情

小川さんの父親は代々地主さんで、貸家や貸店舗を所有する不動産賃貸業をしておられました。生みの母親は若くして亡くなったので、その後、現在の母が後妻として来られましたが、2人の子供が幼い頃だったので、実の母親ように育てられたとのことで、感謝しているとのこと。 父親は一家を仕切ってきましたが、晩年は高齢になったことから、賃貸業を弟に任せるようになりました。弟は、父親の後を継ぐ名目で勤めていた会社を辞め、父の跡継ぎとして不動産賃貸業の会社に入社、現在は社長となっています。

父親が亡くなりましたが、遺言書がないので、遺産分割協議をしなければいけませんが、ここで不協和音が噴出してきました。 相続人は実家に住む義母と弟の3人ですが、小川さんは嫁いだ立場で同居をしていないので晩年の父親の様子はわかりません。義母は一緒に住む弟夫婦に気兼ねがあるのか、相続の手続きを仕切ったのは弟でした。

相談者にこられたきっかけ

父の代から賃貸業の申告のために頼んでいる税理士さんがあり、実家にいる弟が全面的に信頼していることから、相続税の申告もその先生に依頼するとのこと。小川さんにすれば、嫁いでから実家の様子はわからないので、弟が仕切るのは仕方がないとしても、どう話しを進めていいかわかりません。しかも、弟が依頼した税理士はどうも相続には慣れていないようで信頼できないように感じられました。

そこで、私の本を読んで、こちらに相談に来られたのでした。自分が納得する相続をしたい、できるだけ節税して、父の財産を残したいという気持ちだとのことです。弟にもこちらを推薦したので、申告もこちらに依頼をしたいというのが小川さんの意向でしたが、それは弟が譲りません。しかし、申告する税理士は遺産分割協議には入ろうとせず、決まれば計算するという態度です。そこで小川さんの依頼で遺産分割協議のコーディネートをすることになりました。

運命の分岐点・ここがポイント

☆配偶者の特例を利用するような条件を提示
弟は自分が大部分を相続したいようで、義母へは3割程度の財産を相続させるという案を出してきました。小川さんは苦労をかけた継母には多く相続してもらいたい気持があり、配偶者の特例の枠も残っていることから、納税の負担を減らすためも弟が相続する割合を義母へ変更することを条件に出しました。しかも、これで、納税額を約1億円減らすことができたのです。

☆法定割合程度を主張
弟は、小川さんへは全財産の数%程度の現金ではどうかと提案してきました。納税分も用意するので手取りで数千万円という提示です。しかし、小川さんの希望は、父親が苦労して維持してきた土地は残したいのとのこと。会社を辞めて家の財産でのうのうとしているように見える弟に対しては信頼できないところがあるというのです。そこで、こちらは小川さんの意向を汲み、法定割合相当を現金と土地で要望することにしました。

☆利用価値のある土地を選択
小川さんは実家を離れて久しく、父親の土地の所在の全部はわからないとのこと。先方の税理士に送ってもらうよう依頼しても送られてこないため、名寄せ帳をもとにこちらで調査し、貸し駐車場になっている角地の土地を選択して交渉したところ、かなり難色を示されましたが、最終的には承諾を得られました。現金を合わせて法定割合とすることも承諾をもらえたので、その現金で納税もできます。

☆申告期限に間に合わせる
遺産分割協議が申告期限に間に合わないと未分割の法定割合となることから、期日が迫っており、税理士からも法定相続分で申告を勧められたようです。しかし、弟も長引いても得策ではないと判断したようで、申告期限の前日に調印、当日に申告、納税ができたのでした。これで弟は小規模宅地の特例を利用できるので、大きな節税になりました。

☆相続税の更正請求で還付を受ける
弟が依頼した税理士の相続税申告書を確認してみると間違いもあり、まだ節税の余地があると判断できました。小川さんに説明をすると更正請求を依頼したいとのことでしたので、弟にも打診しましたが協力はしないとの返事でした。仕方なく小川さんの意向で更正の請求をすると土地の評価のし直しと保険評価の誤りを訂正する内容で請求したとおりに認められ、相続税の還付を受けることができたのでした。小川さんも納得するくらいの還付を受けましたが、弟が一番が多く還付を受けることができた結果となりました。

相続実務士®の視点

実の姉弟ながら双方が相手に対する信頼がなく、遺産分割協議は難航しました。しかし、申告期限までの時間がないこともあり、これ以上、争わない選択ができたことは幸いと思えます。ともに両親や家を思う気持ちは変わらないのに、本人達の溝は深いものがありました。

小川さんは、実印は父親が作ってくれたので納得いかない書類に押すわけにはいきませんと言っておられましたので、自分の意思が生かせる分割協議になり、満足しておられます。しかし、実の姉弟ながら意思の疎通がはかれないことには変わりはなく、この先、わだかまりがなくなることを祈るのみです。

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コラム執筆

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