夢相続コラム

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【相続実例コラム】古い貸家をマンションに建て替えて価値を高めた上田さん

2020/07/03


【相続実例コラム】古い貸家をマンションに建て替えて価値を高めた上田さん

●相続関係者

被相続人 父(不動産賃貸業)
相続人2人(妻、長男・相談者)

●相続事情

上田さんの父親は若い頃から鳶職をしてこられました。第一線を退いてからも鳶職組合の役員を務めるなど尽力してこられたとのこと。職人気質だったと話して下さいました。
父親が所有する土地は、角地にあり、自宅とそのまわりの畑で、約1000坪あります。道路に面しているところはいいのですが、敷地は奥が深いので利用しにくい地形でした。そこで父親は自宅の横と奥に3本の道路を造りました。幅員6mのゆったりした私道で、造成費を捻出するために、一部の土地は売却しなければいけなかったようです。おかげで自宅は四方が道路に囲まれた敷地となりました。他の区画も角地となり、すっきりと整備されています。
父親は仕事柄、不動産や建築には詳しく、まわりの農家に先駆けて昭和40年代のはじめの頃に貸家業をはじめています。近隣に工業団地があること、車の通行が頻繁な道路に面していることもあり、借り手はいくらでもいました。しかし、築30年も過ぎるとやはり建物の老朽化が進み、退去したあとの新しい借りてはつかなくなりました。家賃を滞納する人もでてきて煩わしくなったこともあり、昨今は、貸家が空くごとに解体して駐車場に切り替えています。
そんな状況の中、父親は70代半ばで体調を崩し、入退院を何度か繰り返したのちに亡くなりました。財産のほとんどが不動産であり、しかもほとんど整形地で道路状況もいいので、評価を下げられる要因がない程です。それだけ利用価値は高いと言えます。

●コーディネート依頼のきっかけ

父親は借金嫌いで、道路の造成費と同様に、貸家の建築費も土地を売却した代金を充てているので、負債は何もありませんでした。言い換えれば、相続税の節税対策をなにもなかったことになります。
相続人は母親と上田さんの2人だけです。二次相続では相続人は上田さんだけとなり遺産分割で揉めることがありません。しかし、土地が広いので、それにかかる相続税も少なくありません。

●運命の分岐点・ここがポイント

☆配偶者特例で最大限に節税する
ともかくの節税として、財産の半分までは無税という配偶者の特例を最大限に使うことで納税の負担を減らすことにしました。
上田家の土地は、自宅、駐車場、広い道路に面した土地の3区画に分かれています。このうち利用価値が一番高いと思われるのは、広い道路に面した土地で、店舗としても仕えそうです。母親には二次相続の節税対策が取れるようにと、広い道路に面した土地を割り当てることにしますが、それでは半分を超えてしまいます。そこで50%ぎりぎりの割合になるようにと上田さんの持ち分も入れて共有割合を調整しました。これは大きな節税になります。

☆測量をして利用区分毎に評価する
貸家が建っている土地は、三方道路ですが、表の公道に面する建物と裏の私道に面する建物に分かれています。敷地の一部には駐車場もあり、個々の地形は不整形です。この利用区分図を作成することで路線価が分かれることになり、評価減となり、節税できました。

☆相続税を延納して土地を有効利用
課題は納税です。納税を早めにすませてすっきりさせるには、土地の売却か物納かになります。しかし、どの土地も効率はよく、なくしてしまうには惜しいと思えたため、相続税は延納にして、まとまった土地は残すことを提案しました。
肝心なことは、返済期間は20年間と長期にわたる延納の返済原資で、どういう方法で返済資金を捻出するかは重要なことになります。そこで、母親の相続税節税対策と延納返済原資確保の両方の目的で、土地を有効利用することを提案しました。

☆リスクを分散して余力を残す
広い道路に面した土地は横に長い区画です。向かい側に工業団地が広がっているので、敷地全体を利用して大きなビルを建てることも想定しましたが、上田さんは万一のときの状況の変化に対応できるように更地部分を残しておきたいとのこと。そこで、建物の位置を道路側に向けるのではなく、道路と垂直の位置に配置することにしました。利用するのは敷地全体の3分1程度となり、1階店舗、2~5階は賃貸マンションとし、ベランダは南に面しています。残りの土地は駐車場として賃貸することで、収益もあげられます。

☆古い貸家から収益のある賃貸マンションへ
建設計画地には貸家が5棟あり、賃貸中でした。上田さんの意志も固まったころから入居者に明け渡しの交渉をはじめましたが、全員に同意が得られて、建物の着工までに明け渡しが完了し、建物の解体も終えることができました。
その後、古い貸家から賃貸マンションへと生まれ変わったのですが、見違えるようにきれいになり、環境がよくなりました。収益も今までの何倍にもなり、良質な入居者が入り、家賃滞納などの悩みからも解消されたのです。

●相続実務士の視点

会社員の上田さんは朝早く出勤し、終電近くまで仕事をしておられ、普段はのんびりする時間もとれず、相続手続きも申告まであと3ヶ月を切っていたころ、こちらに相談に来られました。亡くなったお父さんも土地に愛着を持っておられただけに、上田さんもできる限り土地は残したいとはっきりとした意思をお持ちでした。
相続税の申告が終わってから、土地有効利用の意志決定まで5ヶ月程度でしたが、これも土地を残して維持していきたいという強い意思の表れだと感じています。事業は順調に進み、存在感のある建物が完成しました。建物の名称も上田さん自身が命名され、上田さんにとっては今後の財産維持の方向性を示す事業になりそうです。
今や相続された土地にはかつての面影はなく、相続をきっかけとして有効利用することで価値をあげ、資産を殖やして頂くことができたと言えます。建物が竣工したとき、上田さんのお母さんと最上階から周辺の景色を見たときに、「お父さんにも見せてあげたかった」と言われたことが印象的でした。

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