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【相続実例コラム】小規模宅地の特例適用で5,800万円節税。「不在者財産管理人」の申し立てで、相続手続き期限に申告が間に合った山下さん

2020/08/28


【相続実例コラム】小規模宅地の特例適用で5,800万円節税。「不在者財産管理人」の申し立てで、相続手続き期限に申告が間に合った山下さん

山下譲さんの父親は公務員でした。38年間コツコツと働いて、老後のために、貯金を堅実にしてきたそうです。贅沢はしませんでしたが、海が好きだったそうで、譲さんが小さい頃は、家族全員で、よく海水浴に行っていたそうです。定年になる2年前に母親が亡くなったことが、父親を変えるきっかけになったのでしょうか。父親らしくない行動をとったそうです。それは、定年と同時に海の見える家に移り住みたいと、リゾート地に引っ越しをしたのです。恐らく一生で一番の買い物です。父親は、その家で静かに時を過ごした後、老人福祉施設に入所し、高齢のため、今年に入って静かに息を引き取ったそうです。

●1.申告のタイムリミットが迫っているのに弟が見つからない

山下さんには心配事がありました。それは、5年前、譲さんの弟が失踪してしまったことです。相続手続きをするには、弟の同意が必要ですが、現在も探す手がかりはなく、このままでは、遺産分割協議の手続きが滞ってしまいます。期限も迫り、どうしたらよいか困って、当社に相談に見えました。アドバイスしたのは次の通りです。

1-1 不在者財産管理人の選任
山下さんのように、相続人が行方不明になった場合には、代わりに遺産分割協議に参加したり、相続財産を管理したりする人が必要となります。「不在者財産管理人」は弟の代わりに遺産分割協議に加わることができ、この行為は法的に認められています。勝手には決められず、家庭裁判所に選任申立をすることが必要で、親族が優先的に選ばれることが多いです。

1-2小規模宅地の特例を使って節税を
晩年、父親が移り住んだリゾート地は、資産としてみたとき、非常に価値の高いエリアです。そのために土地の評価額は7,200万円になり、課税遺産総額が跳ね上がる原因となっていました。しかし、結果的には5,800万円の節税に成功しました。小規模宅地の特例が適用になったのです。

1-3 「失踪宣言」は相続の場合、不都合が多い
遺産分割協議を円滑に進めるための同じような手続きに「失踪宣告」があります。不在者の生死が7年間明らかでないとき、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができます。山下さんの弟は、5年前に失踪してしまったため、今回は「不在者財産管理人」の選任をおすすめしました。

●2.注意すべきポイントは?

以上のように3つのアドバイスを行いましたが、手続きをする際に、見落としがちなことを3つ挙げておきます。

2-1 「失踪宣告」は手続きに時間がかかる
「不在者財産管理人」をすすめた理由はもう1つあります。それは「財産産管理人」の選任は2か月くらい、「失踪宣告」は1年~1年半程度、手続きに時間がかかるということです。相続税の場合は、相続の開始があつたことを知った日の翌日から10か月以内というルールがあります。山下さんの場合は、遺産分割協議を早々に終わらせて、相続税の申告をしたいという意向が強かったため、万が一、「失踪宣告」の申請をしたとしても、10カ月以上かかってしまい、相続税の申告期限に間に合わなくなってしまったでしょう。

2-2 遺産分割協議は早めに終わらせる
相続実務士として今まで相談を行って感じるのは、代が変わると付き合いも少なくなり、相続についての考え方も異なることが多いため、話し合いがスムーズにいかない人が多いということです。相続人が増えることは相続の際に争いが起こるリスクが高くなるということだと思います。そのことを考えると、山下さんが「不在者財産管理人」の選任申請を早く行ったのは賢い選択といえるでしょう。

2-3 原則、住民票がある土地でないと「小規模宅地の特例」は適用にならない
小規模宅地の特例は、相続税の算出のもととなる、土地の相続税評価額が8割「減」になる、節税効果の高いものです。自己居住で使われていた敷地に適用されるなど、要件も多く、老人ホームに移った場合や、別荘に使っていた場合などは、要件から外れていないか、しっかりとチェックすることが必要です。リゾート地には別荘がたくさんある地域ですが、山下さんは自宅として使用し、住民票も鎌倉に移動させていました。そのため、この特例を適用することができ、7,200万円だった税額は1,440万円にまで減額ができたのです。

山下さんは、失踪した人がいても遺産分割協議ができ、相続が可能であることが分かり、安心した様子でした。

弊社では様々なプランをご用意しております。
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営業担当

大野 光彦
相続実務士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
人生の総仕上げとなる「相続」について親身になってご提案させて頂きます。

コラム執筆

吉井 まゆみ
相続実務士、宅地建物取引士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング・技能士
お客様の人生に寄り添った相談業務ができるよう、日々努力しております。
賃貸、売買、用地仕入れと、ひと通りの不動産業務を経験してきました。女性ならではの感覚で、行き届いたコンサルティングを心掛けています。
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