夢相続コラム

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【相続実例コラム】相続だけでなく、自宅の売却も節税ができた古川さん

2020/08/27


【相続実例コラム】相続だけでなく、自宅の売却も節税ができた古川さん

●家族構成

母・・・84歳・茨城県在住
父・・・被相続人。母と同居していたが、ガンで死亡。
長男・・・相談者 。59歳。埼玉県在住。
長女・・・妹。57歳、神奈川県在住
古川さんの父親は左官業を営んでいました。社交的で友人も多く、事業は順調にいっていました。古川さんと、その妹さんも一人前になり、それぞれ家庭を持つようになってからは、事業を畳んで、母親と仲良く暮らしていましたが、ガンを患い、とうとう亡くなってしまいました。
古川さんと妹は、高齢の母親をサポートし、葬儀を無事終えました。次は相続の話。争うこともなく、兄弟は相続の話を始めました。実家は母親に相続させようということになりましたが、母親名義にし、その後母親が亡くなり、自分たちが相続税を納めるのは損な気がします。今の段階で自分たちの名義に変えておこうと、兄弟間で話がまとまりました。手続きをしようとしましたが、煩雑で分からずに当社にお見えになりました。

●母と子の気持ちが食い違う

父親が亡くなってしまったので、母親は実家に1人暮らしになってしまいます。実家のある場所は利便性が悪いため、古川さん兄弟は、今後、母親が1人で生活できないのでは、と心配しています。頻繁に様子を見に行ってあげたいと思っていますが、古川さん兄弟の自宅は、どちらも実家から1時間以上離れています。仕事と家庭を持っている2人にとって、実家に移り住んであげるのも難しく、兄弟どちらかの近くに母親が移り住むのがよいと思っています。
しかし、母親自身はとても健康。買い物や通院など、身の回りのことは、すべて自分でできるために、そのまま今の家に1人で住み続けたほうが、気楽でいいと考えています。古川さん兄弟は、高齢とはいえ、気持ちも体も元気な母親の気持ちを優先し、母親はそのまま実家に住んでもらい、母が亡くなったら、実家を売却するという話になったそうです。

●配偶者が受けられる税額軽減を使って無税に

相続実務士として、アドバイスしたのは、遺産分割協議で、財産の名義は母親にしたほうがよい、ということです。相続で配偶者は優遇され、財産の半分まで、あるいは1億6000万円まで相続税を課税しない「配偶者の税額軽減」を受けられます。古川さんの場合、課税遺産総額は5,100万円。基礎控除は4,800万円のため、母親以外のどちらかが相続をした場合には、多少なりとも相続税の支払いが発生します。いっぽう遺産分割協議で、母親だけが相続すると、1億6000万円の配偶者控除が適用になり、相続税が無税になるのです。

●選択を誤ると相続以外で納税義務が発生

財産名義を母親にすることは、ほかにもメリットがあります。母親が相続後、自宅を売却する際にも「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用が可能になります。
遺産分割協議で名義変更費用を節約しようと、古川さん兄弟名義にして、売却してしまったら、母親の自宅売却のときも納税しなくてはなりません。この土地と建物を合わせての売却予想金額は4,800万円なので、 4,800万円-取得価格(相続での取得のため売却金額の5%=240万円)―控除無し=4,560万円
4,560万円×約20%(長期譲渡※1)の譲渡所得税と住民税がかかります。
母親名義にしないと、「相続税における配偶者の非課税枠(1億6,000万円まで)」「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」、どちらの特別控除も適用にならないのです。このことは、古川さんにとっては盲点だったようです。「考えてもみませんでした」と、古川さんの妹さん。

●先を見据えた選択が必要

古川さんが、初めて相談に来たとき、実家の売却勧めました。実家の場所は坂の上にあり、公共交通機関はバスのみ。1時間に1本しかバスが来ないような場所でした。せっかく所有しても、お母さん一人で住むのは難しくなりますし、子どもたちはそれぞれ家庭があり、同居が難しく、空き家になるリスクが高いと判断したからです。しかし、親子の心情考えると、すぐの売却はやめたほうがいいということになり、しばらく母親は実家に1人、暮らしていました。
母親はその後、足腰が弱くなり、老人ホームに入ることになりました。以前とは違って「自宅を売りたい」と古川さんやその妹に話すようになり、とうとう売却を決心しました。初回相談時は4,800万円の売却予想価格でしたが、その後、自宅周辺は開発が盛んになり、地価が上昇。5,000万円で買い手が付きました。この5,000万は、母親のものなので、万が一、相続が発生してしまったら、基礎控除が4,200万円なので、古川さん兄弟に相続税がかかります。つまり、「2次相続」で課税が発生してしまうのです。
そこで、提案したのは収益物件用の区分所有マンションの購入です。現金で所有すると、不動産のような控除の法律がありませんので5,000万円に対して課税されてしまいます。不動産に変えておくことで評価額は下がりますし、借り手がいれば「貸家建付地の評価減」の特例も使え、賃料も入ってきます。
「空き家になったりしませんか?」と、古川さん。実務士は、立地のよいところに不動産を購入することでリスクを軽減させられることを説明しました。納得した古川さんは、23区内の駅から徒歩5分圏内にある、築4年の収益物件を約5,000万円で購入しました。

●先を見据えた相続を

配偶者に相続させると、無税になる、知っている人が多いと思いますが、気を付けないと2次相続の時に相続税をたくさん払わなくてはならないこともあります。古川さんのケースでは、1次相続で母親がすべての財産を相続することをお勧めし、相続後、自宅不動産を売却。2次相続でも節税するため資産を現金から不動産へと組み替えを行いました。先を見据えてアドバイスするのが相続実務士の役割です。古川さんからは「今度は娘さんが自分の財産を相続したときのことも相談したい」と連絡がありました。古川さん一家とは、長いお付き合いが続きそうです。

●財産構成

すべて亡父名義
土地 相続税評価額 3,300万円
建物 相続税評価額 1,800万円
金融資産 100万円
基礎控除 4,800万円
※1 相続の場合は取得した年数も引き継ぐため長期になります。

弊社では様々なプランをご用意しております。
お気軽にお問い合わせください。

 

 

コラム執筆

吉井 まゆみ
相続実務士、宅地建物取引士、AFP、2級ファイナンシャルプランニング・技能士
お客様の人生に寄り添った相談業務ができるよう、日々努力しております。
賃貸、売買、用地仕入れと、ひと通りの不動産業務を経験してきました。女性ならではの感覚で、行き届いたコンサルティングを心掛けています。
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