夢相続コラム

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【相続事例】田も宅地評価!更正はやぶ蛇になると脅かされた土屋さん

2020/12/04


【相続事例】田も宅地評価!更正はやぶ蛇になると脅かされた土屋さん

●【相続のあらまし】

☆地方の農家の長男
土屋さんは農家の長男ですが、大学から東京に出てきており、そのまま都内で就職、もう東京の生活の方が長くなっていました。実家は群馬県の郡部にあります。母親は既に亡くなり、妹も嫁いでいるので、父親は、晩年一人暮らしをしていました。相続人は土屋さんと妹の二人です。財産は自宅と数カ所の農地と預金程度。市街化調整区域の土地ばかりなので、相続税はかからないと思っていました。父親の弟が地元の税理士を紹介してくれたので、実家に近い方がいいと思い、頼んだのです。

☆多額の相続税を払うなら農地はいらない
ところが相続税はかからないものと思っていたのに、税理士の計算では土地の評価だけで1億2500万円になるとのこと。財産の総額は2億2000万円、相続税は3050万円と予想もしなかった額となったのです。住んでもなく、農家を継ぐわけでもないのに、実家の農地を相続するのにそんなお金がかかるとは信じられないというのが本音でした。実家を離れて都心でサラリーマン生活をしている人は、親の相続でそんなに大金を払わなくてはならないのか、それなら農地や実家の土地は相続しなくてもいいという思いでした。

☆農地ばかりなのに相続税が高すぎる!
土屋さんにどうも納得できないことがありました。どの土地も農地なのになぜそんなに相続税が高いのかということです。それには、いきさつがあったようです。父親は生前、農地の一部を貸すことになり、農業委員会に農地転用届けを出していました。パチンコ店が借りたいとのことで隣接する2人の土地所有者も一緒に土地を貸す契約書をしたのです。農地は雑種地として転用許可が下り、パチンコ店のための準備は整いました。
ところが、当の借り主は資金繰りが悪化し、計画は頓挫したのです。すでに書類上は農地から雑種地に転用して手続きは完了しています。借り主も時期がよくなれば状況も変わり、実現させたいので、契約はそのまま継続させたいとのこと。地代は、半年分はもらいましたが、結局あとの支払いはありません。そのまま数年が経過し、今回の相続となったのです。土屋さんは、この農地の評価が高いために相続税も高くなっていることがずっと気になっていました。

【相続のプロが指摘する! ここが問題】

◇農地の評価が高すぎる
賃貸借契約をした農地は、地代をもらったのも最初の2ヶ月だけ。現況も田のままで、今までどおり稲作をしているわけで、現実には雑種地にはなっていません。雑種地にするという書類を提出しただけで現況はなんら変わっていませんが、相続の評価だけは市街化の宅地並みで、300坪の農地が9000万円となっていました。

◇遺産分割の選択ミス
農地を相続したのは土屋さんでした。長男が跡継ぎという発想では、農地を相続するのは土屋さんとなるかも知れませんが、都内に住居があり、仕事をしているので、現実には農地を耕作することは無理です。けれども妹は実家と同じ市内に住んでいるので、農業を継続することは可能な立場にあります。現実的には妹が農業後継者となることが自然だったと思えますが、そうしたアドバイスはなかったようです。

◇不動産の登記が早すぎた
申告期限は1月ですが、不動産の登記は8月に早々と済ませていました。申告前であれば登記が済んでも錯誤で戻すことも可能です。ならば、農地は地元に済んでいる妹に変更するという選択もできたのですが、申告が済んだ後ではもう遺産分割の内容を変更することはできません。

◇税理士の知識不足
申告前にいろいろな可能性を比較、検討して、選択すべきなのですが、依頼した税理士からはそうした説明や提案はなかったのでした。
納税を見据えた遺産分割をするためには、税理士の先生の知識は不可欠です。納税猶予を適用できないか、分割を変えたらどうか等、いくつかの案を出して、選択できるくらいの経験や知識が必要です。

◇納税猶予を利用しなかった
農地を相続した場合に納税猶予を受ける特例を利用することができますが、相続したのが地元に住んでいない土屋さんであったため、税理士には納税猶予の発想もなかったようです。耕作しない農地を相続したのに、相続税だけはかかってくるということになったのでした。

◇更正請求はやぶ蛇になると脅かされた
更正請求の準備中に実家の法要があり、たまたま税理士と会ったことから、断りのつもりで更正請求をするつもりだと土屋さんが話したところ、税務署は簡単には認めないばかりか、もとの申告が覆されたりしてやぶ蛇になるのでやめた方がいいと脅かされたのです。相続人の利益よりも税理士の立場を優先、保身したいという態度であきれたと話しておられました。

【相続の結末 現実はこうした】

☆申告が終わってすぐに更正請求
本を読んで相談の電話を頂いたのがきっかけですが、そのとき既に申告まで1ヶ月あまりという時期で、手を打つにも間に合いません。そこで、とりあえずそのまま申告をし、終わったら来てもらうように約束しました。土屋さんが相談に来られたのは、申告が済んでから1週間後でした。
税理士は土屋さんの訴えがあっても為すすべがなく、相続税は結局3050万円のまま申告をされていましたので、仕方なく職場から借りて納税を済ませたということでした。農地は無くなってもよかったのですが、物納することもできずにあきらめたのでした。

☆2200万円の還付実現
農地の評価を再検討したところ、やはり高すぎると判断できました。そこで、現在も農地であることを前提として評価をし直し、相続税を下げるために更正請求をしました。
減額のポイントは雑種地となっている農地です。書類上は雑種地であっても現況は調整区域の農地(田)で、相続時点も耕作をしていましたし、家も建てられるところではありません。こうした現況とリスクを計算し減額することにしました。結果は申告どおりに認められ、2200万円の減額、還付が実現したのでした。

【ここに注意する! お役立ちアドバイス】

◇申告後1年以内は更正の請求で相続税を取り戻せる
◇特別に事情のある土地は理由付けをすれば減額の可能性がある
◇申告期限以前は分割協議を変更することもあり、登記はしないほうがよい
◇農地の納税猶予が選択できる場合は、利用した方が得策

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