夢相続コラム

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【それぞれの相続物語】(8)20年前の亡兄の恨みを相続で返された片岡さん

2022/10/13


【それぞれの相続物語】(8)20年前の亡兄の恨みを相続で返された片岡さん

 

◆相続関係者

●依頼者  片岡さん(男性・70才代)定年退職、妻、娘、姉(次女)と同居

●被相続人 姉(長女、独身、子なし)片岡さんと同居

●相続人  姉(次女)、次男(片岡さん)、亡長男の子2人 

●財産の内容 自宅土地、建物 各1/3

 

◆相続状況 亡兄の子供たちがハンコを押してくれない

片岡さんは4人姉弟の一番下、長男、長女、次女、次男という順番です。長男と片岡さんは結婚して子供もいますが、姉二人は結婚の機会に恵まれずに独身を通しました。実家から出たのは長男だけで、長女、次女、次男家族は親から相続した実家に住んでいます。

 

父親が亡くなって相続するとき、長男には土地の権利を放棄してもらい、3人の名義にしました。その後、片岡さんと姉二人で3階建ての家に建て替えました。3人がお金を出し合ったので、建物も3人名義となっています。これで20年が経ちました。

 

家も老朽化してきたことや娘の結婚も決まったことから、片岡さんは2世帯住宅に建て替えたいと考えました。それには資金がないので、土地を半分売却して建築費に充てるしかありません。近くの不動産会社に相談したところ、十分に希望額で売れると言われました。安心した片岡さんは測量、分筆の依頼をし、建物のプランも作成してもらっていました。ところがここまで進めてはじめて2年前に亡くなった姉の名義がそのままであることを指摘されたのです。まったく気に止めてもいなかったのですが、売却するにも亡くなった姉の相続登記をしなければならないと聞いて驚きました。

 

◆解決へのアドバイス

亡くなった姉の相続人は兄弟姉妹で、長男、次女、片岡さんです。しかし、長男は既に亡くなってしまっているので、兄の2人の子供が代襲相続人となることもわかりました。亡姉の名義を変えるには相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

 

長男家族とは既に疎遠になっていましたが、兄嫁に事情を話すべく兄が亡くなって以来はじめて連絡をとりましたが、会いたいという申し出にも断られてしまいました。その後、連絡をしても電話にも出ないようになり、困ってしまったのです。

 

代わりにこちらで兄嫁に事情を聞いてみましたところ、長年の思いがあるとのこと。当事者同士では話し合いをしたくないということで弁護士を立ててきました。そこで、片岡さんにも弁護士を依頼するようにアドバイスをしました。

 

◆疎遠であれば遺言書は必須

片岡家の事情は親の相続の時のことが原因だったようですから、長男が亡くなってから疎遠になっている事情があれば、長女、次女の遺言書は絶対不可欠だったと言えます。

 

どうも金銭がほしいということではなく、父親の相続の時の処遇や長男が亡くなったときの葬儀の場での言葉などが長年の確執を生むきっかけとなったようで、感情的なことが原因でした。結果的には売却をして、法定割合を分けることになり、片岡さんが予定した建物も建たずに別の場所へ転居することになりました。生前に適切なアドバイスをする人がいなかったことが悔やまれます。

 

◆相続実務士からのアドバイス

配偶者も子供もない方の相続人は親で、親が亡くなっている場合は兄弟姉妹です。兄弟姉妹が亡くなっていればその子が代襲相続人となります。

 

疎遠になっている事情があれば、話し合いがつかないことも想定されるので、遺言書は必要でしょう。遺言書が過去の恨みの感情を引き出すこともなく、さらに深刻な関係に陥ることもありません。なお、兄弟姉妹には遺留分の減殺請求権はありません。

 

 

 

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