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親と同居の小規模宅地等の特例で失敗することも!

2022/01/19


親と同居の小規模宅地等の特例で失敗することも!

小規模宅地等の特例を受けるための用件となる同居!

大きな節税につながる小規模宅地等の特例ですが、それを適用するには要件があり、特例を受けられるのは、以下のケースに限られています。
亡くなった人の住んでいた自宅の土地を、次の(1)〜(3)の人が相続した場合。
(1)配偶者 (2)同居していた子供 (3)自宅を持たない子供
つまり、配偶者が自宅を相続する場合は、無条件でこの特例を受けることができますが、子どもが親の家を相続する場合は、原則同居していることが条件と言えるのです。
土地の評価が上昇するエリアに家がある人にとっての節税対策の王道は、「親との同居」が第一順位に来るご家庭が多いと言えるのです。
ところが節税対策の王道なだけに、「親と同居」しておきさえすれば特例が受けられると安易な考えている人も多く、中には失敗例もあります。Kさんの事例をご紹介しましょう。

父親は自宅から介護付き老人ホームへ

Kさんは4人きょうだいの長男で、下に妹と弟二人がいます。父親が今年の春に亡くなったため、相談に来られました。母親はすでに他界しているため、相続人は子供4人となります。
母親が亡くなったあと、父親はひとり暮らしをしていましたが、80歳をすぎるといよいよひとり暮らしが難しくなってきました。それまでは、近くに住む妹が父親の食事の用意や身の回りの世話に通っていましたが、昨年、父親が骨折して入院してからはひとりで歩くことが困難となり、退院後は介護付き老人ホームへ入所したのです。介護保険の手続きのために父親の住民票は老人ホームへ移しました。

自宅の管理のために戻った

長男のKさんは結婚して子供にも恵まれましたが、仕事の関係で若いころは転勤が続き、ずっと実家を離れて生活をしていました。長男だからいずれ、実家を継ぐかもという気持ちもあり、自宅の購入もしてきませんでした。
妹と弟たちはそれぞれ結婚して妻子があり、自宅も自分たちで購入して生活しています。よって、きょうだいで家を持たないのはKさんだけでしたので、父親が老人ホームに移って空き家になった実家の管理は、Kさんが住めばできるということになり、家族で実家に引っ越したのです。

2年後に父親が亡くなったが

家を所有しないKさんが父親の家に同居すれば、居住用の小規模宅地等の特例が使えるという目論見があり、妹や弟にも同居しておけば相続のときには相続税がかからなくなるとことも説得材料としていました。
Kさんたちきょうだいは、父親の家に住んでいることが同居となり、特例が使えるという認識でした。ところが、父親の住民票は、2年前に老人ホームへと移転されており、いままでの家は父親の自宅ではないのです。とうぜん、父親の部屋も荷物もそのままですが、父親は自宅に帰って生活できる状態ではなく、住民票もないとなると、父親の自宅はすでに老人ホームとなってしまうのです。

小規模宅地等の特例が使えない

父親の自宅の土地評価は7000万円。建物や預貯金などを合わせると約1億円となります。基礎控除5400万円を引いた残り4600万円に課税されます。税率は15%で相続税は490万円となります。
仮に小規模宅地等の特例が使えるのであれば7000万円の80%が減額できるため、相続税はかかりません。
また、自宅の1階は父親が工場として使っていましたが、それも廃業して未使用のまま、現在に至ります。生前に相談があれば、父親の自宅で亡くなっていたとしても、一階を賃貸していれば、貸付用の小規模宅地等の減額が使えるため、相続税の節税のチャンスはあったのです。

小規模宅地等の特例を使うためのポイントはココ

相続では小規模宅地等の特例を使えば相続税がかからないから安心と思っている方は多いでしょう。しかし、Kさんごきょうだいのように、自分たちで判断してしまうと特例が使えないという思わぬ事態になりかねません。
500万円近い相続税がかかるのと、かからないのでは大きな違いと言えます。

小規模宅地等の特例の確認ポイント

・親の自宅=生活の実態はどこか?
 住んでいるところに住民票があることが原則
 介護や治療のための病院や施設は住まいではないので住民票は移さないこと

・同居の条件とは?
 生活の実態を移してしまうことが必要で、住民票だけ移して、本人や配偶者に持ち家がある場合は不可。

・家なき子の条件とは?
 本人や配偶者名義の家がないこと

このように、小規模宅地等の特例は要件が厳しくなっていることもあり、生前に専門家に確認しておかないと失敗することもあります。また、自宅の特例が使えない場合は、貸付用の特例を使えるようにしておくことで税金の負担を減らせることも、一般の方では気が付かないこともあるかもしれません。
いずれにしても、生前対策の必須項目として専門家に相談し、確認しておくことで失敗して後悔することは避けられるはずです。

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