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60代の後妻。夫の死を経験して考えた、先妻の子との円満相続への道

2021/12/23


60代の後妻。夫の死を経験して考えた、先妻の子との円満相続への道

再婚同士の結婚

Kさん夫婦は夫が50歳の時に結婚しました。そのときKさんは38歳。12歳の年齢差も気にならずに結婚しました。夫は前妻が亡くなり、2人の息子たちも20代ですでに家を離れて独立していましたので、1人暮しをしていました。Kさんは20代で一度結婚したものの離婚していましたので、再婚するのに障害はありませんでした。
夫側の先妻の子供たちは、父親の再婚を祝福してくれて、普段から行き来もして、円満な関係にあったと言えます。Kさんには前夫との間に子供がなく、再婚した夫との間にも子供は恵まれませんでしたので、夫と2人で仲良く暮らしてきたといいます。

子どもがいないので夫が亡くなると1人で不安

Kさんの夫は証券関係の会社員で、定年まで勤めました。その後、子会社に再就職して70歳まで仕事をしてきましたので、経済的には大きな不安はありませんでした。
Kさんは、再婚後は専業主婦として生活することができたので、あり難かったと言います。それでも、経済的には大きな不安はないと言いつつも、こどもに恵まれなかったことは老後の生活を考えると不安要素です。夫が亡くなったあとはどうすればいいのか、誰に頼ればいいのかと、夫婦でもそうした会話をしていました。

後妻が頼れるものは財産、子供がいないとなおさら

先妻と死別して、子どもが幼い頃に後妻となった場合は、一緒に生活したり、育てたりした親子の情があります。先妻の子を後妻の養子にしていることも多く、実の親子と変わらないような関係だと言えます。
けれども、子どもが独立してからの結婚だと、先妻の子にとって後妻は母親だという認識が薄く、一緒に生活をしていないため、親子とは言えない感情があります。そうした場合、互いに距離がありますので、後妻は老後の世話になる気はなく、先妻の子も相続人ではないので面倒を看ようという気持ちがないと言えます。結果、後妻にとって頼れるのは、先妻の子どもという形にはならないことが多いのです。
そうなると後妻が頼りにして守りたいものは夫の財産で、「先妻の子どもに渡す気はなく、全財産を自分がもらう」という気持ちになり、夫にそうした内容の遺言書を書いてもらうようにします。後妻に子どもがいる場合はなおさらで、円満にいくはずもありません。

先妻の子どもに財産を分ける気持ちはない

先妻の子に取って、後妻は実の母親ではないため、円満に行き来できないこともあります。そもそも結婚することも事後報告だというご夫婦もあります。先妻と死別ではなく、後妻が原因となって離婚したばあいは、後妻は母親の敵ですから、いい感情であるはずがありません。父親の再婚後は、実家に寄り付くこともなく、疎遠の状態となります。
後妻が自己保全に走るのであれば、生前贈与などして財産を確保し、先妻の子どもに渡す財産はなくしてしまうことでしょう。公正証書遺言があれば、先妻の子の通知することなく、遺言執行して財産を受け取り、一切教えずに済ませることさえ出来てしまうのです。

まずは妻を守るための遺言書を作成しておく

Kさん夫婦は、2人の間の子どもには恵まれませんでしたが、幸いなことに夫婦で仲良く生活をしてきました。自分が亡くなったあと、不安がないようにしてあげたいということが夫の気持ちでした。
仕事をリタイヤして時間的な余裕ができた頃、夫は図書館で見つけた本を読んで、遺言書を作ると言い出しました。そのために相談に行くというので、夫婦で来られたのが私の会社です。図書館で見て頂いたのが、私の著書だったのです。
夫が遺言書を作ろうと思った理由は、妻のKさんを守ってあげたいということからでした。「自分のほうが一回り年上なので、多分、妻よりは早くいなくなるだろうから、そのときに妻が困らないようにしておいてあげたいという気持ちからだ」と話してくださいました。

不安なく住めるよう、家は妻に

そうして「自分の全財産は妻に相続させる」という内容の遺言書ができあがりました。付言事項には「長男○○と次男○○は妻のよき相談相手になってあげて下さい。妻の死後は遺骨を○○墓地に埋葬してあげてください。妻Kの死後、自宅マンションは長男と次男へ等分の割合で相続させることを希望します。」とも記載してありました。
Kさんの夫は、遺言書の文章にも表れているように、結婚当初から意識して、妻と先妻の子どもたちの間を繋いでくれていました。遺言書の内容も二人の子どもたちにも伝えて理解を得ていましたので、遺留分の請求もしない約束もされていました。

10年後に夫が亡くなった

遺言書を作成してから10年後、夫はガンが見つかり、1年ほどの闘病生活を送り、亡くなりました。「自分がいなくなれば遺言書のとおりにするように」と言っていましたので、Kさんは遺言書を持って手続きをしたいと当社に来られました。夫の意思のとおりに自宅マンションや預金はKさん名義となり、ようやくほっとしたのでした。
先妻の子供たちは、入院時から何度も様子を見に来てくれていましたし、葬儀や荷物の片付けなどもすべて手配をしてくれて本当に助かりました。遺言書についても理解しており、不服はないといい、遺留分の請求はされずに円満に相続ができたのです。これは夫が用意しておいてくれた遺言書やいままでの段取りがあればこそで、感謝していると言われました。

Kさんの現実的な決断 夫の意思をくみ取って遺贈する

Kさんが1人暮しになりましたので、先妻の長男は「老後、大変になれば自分が面倒を看るので近くに来ては?」と言ってくれています。Kさんの相続人は妹で仲はいいのですが、離れたところに住んでいるため、妹や甥姪に老後の面倒を看てというのは負担になるだろうと思えます。 まだ60代とは言え、先のことは早めに決めておかないと、急にことがあっては後悔すると思うと、また、当社に相談に来られました。最初から先妻の長男にも知っておいてもらったほうが安心だと、2人で来られたのです。
Kさんの老後の面倒は先妻の長男が看てくれるということですので、夫の遺言のとおりにしようと決意されました。夫の遺言書はもう使えないため、あらためて遺言書を作る必要があります。ほどなく、夫の1周忌が過ぎ、落ち着いたときにKさんは「マンションは先妻の子二人に2分の1ずつの割合で遺贈する。預金は妹に相続させる」という遺言書を作られました。「元気なうちに遺言書ができあがり、ほっとしたので、これから不安なく生活できます。」と話してくださいました。将来のことが互いに遺言書として担保されているので、双方の信頼となり、安心した生活をして頂けそうです。        

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